僕らは愛に飢えていた

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『だい、きぃ…!もう、イっちゃう…!ん!』

「っ、俺も…、っ…」

『っあ、ああっ、んっ』


力が抜けたと思ったら感じるじんわりと熱いモノ

暫くすると、お互い何も無かったかの用に離れる。


『次、授業だから』

「おー」


俺サボり

なんて言いながら背中を向ける大輝。

本当はもっと、一緒に居たい。

セックスをしたいんじゃない。ただ、側にいて欲しい。


笑いながらくだらない話をして、時には言い合ったり。


そんな、普通の【恋人】みたいな事がしたい。


―振り向いて―



そんな期待は淡く砕け散った。

大輝が閉めたドアの音が、やけに大きく聞こえた。


『ふっ、うく、うぇ、っつ!!』


泣くな、泣くな泣くな泣くな


まだ大輝が近くにいる。

泣き止め、泣き止むんだ。


『うっ、っくぅ、』

自分の親指を口に入れ、思いっきり噛む。


痛い。親指がじゃなくて、心が、痛い。


『だい、き』


大輝なんて……


『だいきら、いだぁ』


違う、大輝が嫌いなんじゃない。


自分が嫌いだ。


忘れたい、忘れたくない。


好き、嫌い


正反対の言葉がグルグル頭の中を回る。


『っー!!うっ、えっ、』

「何、泣いてんだよ」


そこには、いるはずの無い大輝が居た。


「なんで泣いてた。つーか指、噛むな」


痕になんだろ、


そう言って大輝は私の手を掴んだ。


離された指には紅く、歯形が残っていた―




噛み付いた指先



なんだかそれが、指輪の様に思えた。




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