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□いちゃいちゃは眠ったあとで
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「そうだ、私も合宿に行こう。」

「駄目なのだよ」

「なんでよ!?真太郎の馬鹿!…でも好き」

夏休みに入ってから、一週間を過ぎたある日。名前は緑間の部屋にて勉強会を開いていた。
図書館は煩い中学生に占領されていて、とても落ち着いて勉強が出来る場所ではないと判断したため、比較的図書館から近い方の家――緑間の家――にたどり着くことになったのだ。
内心名前は喜んでいた。理由はともあれなかなか家に入れてくれない緑間の部屋にこうして入れていることが、嬉しかった。恋人のような行為を望んでいないわけではないが、不器用な緑間とただ一緒に居るだけで幸せを感じたのだ。しかし、一つ問題があった。
それは緑間の所属している部活――バスケ部――の合宿だった。日程が旅館や学校、部員の予定のせいでずれ動き、当初の合宿の日程から十日ほどずれてしまったのだ。
そのせいで地元である祭りに行けなくなってしまった。名前は帰宅部であるため、緑間たちの行く合宿にはついて行けないのだ。

「だって、今年はって……約束、したじゃん…」

「……」

「一緒に少しでも居たかっただけなのに…」

「…名前、」

「真太郎って、ずるいよ」

気がついたら泣いていた。次々と溢れてくる涙はどうしようもなく止まらなくて、みっともないくらいに泣いた。何が悲しかったのかなんてよくわからなかった。涙を止めようと必死に拭っても拭いきれない涙が酷く恨めしかった。
オロオロとしている緑間はどうやって慰めていいのかわからず、左手で名前を引き寄せて抱きしめた。すっぽりと緑間に包まれてしまった名前は緑間の心臓の音を聞きながら次第に落ち着いていった。


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