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□林檎の毒に浮かされて
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『はい、お見舞い』
そう言って病院でありがちなフルーツのカゴを手渡す。
当の本人はというとのんきに堀北まいちゃんの写真集なんか読んでやがる。
コノヤロウ、そんなに巨乳が好きか。
申し訳程度にしか無い自分の胸を見つめながら、ベッドに腰かける。
『……ごめんね、』
「……、別に」
気にしてねぇよ、とそっぽ向く彼の名前は青峰大輝。
別にただのバスケ友達。
恋人とかそんなんじゃ無い。
雨の日の部活帰り、突然降りだした雨から私を庇いながら家まで送ってくれた彼は、
案の定風邪を引いたのだ。
『馬鹿は風邪、引かないんだけどね』
「誰が馬鹿だコラ」
軽口を叩いている割には少し辛そうだ。
やはり無理をしているのだろう。
『ごめん、ね』
あれ?涙が出てきた。
早く止まれ、
彼を困らせたくないの。
「…………林檎」
『えっ?』
「どうでも良いから林檎剥け」
『えっ?あっ、うん。』
気を使ってくれたのかな、
なんだかますます申し訳ない。
『今、剥いて来るね』
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