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□林檎の毒に浮かされて
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リクエストがあったので林檎をウサギの形に剥く。
うん、我ながら良い出来だ。
『大輝、できた、よ……』
そこにはスヤスヤと眠る彼の姿、
いつもは怖い目をしているが、寝ている時は幼く見える。
林檎、色変わっちゃうな。
そう思いながら寝ている大輝に近づく。
『……格好良すぎだ、バーカ』
ホント、バスケをしている時は勿論、
どうしてこんなに彼は格好良いんだろう。
雨で自分が濡れるのを分かっていながら制服を貸してくれた。
そんな事されたら、嫌でも気になってしまう。
「誰が馬鹿だ」
『っ!?』
聴こえてたの!?
驚く私とは裏腹に大輝は好き勝手に林檎を食べる。
私も食べれば良かったなぁ、なんて思っていたら、急激に視界が変わった。
目の前にあるのは大輝の顔、
口には林檎の味が広がる。
あっ、この林檎、甘酸っぱい。
「名前が、風邪引かなくて良かった。」
耳元で囁かれた掠れ気味の声に、私の顔が真っ赤になった。
林檎の毒に浮かされて
ファーストキスは、林檎味
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