short

□理由は簡単、
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夏は暑い。
そんな当たり前のことを今日これほどまでに感じたことはなかった。夏は暑い、なんて超常識的なことだし、額を伝う汗がそれを伝えている。
嗚呼、でもこんなに暑いなんて。いつもならこの時間は自室でエアコンをいれて課題をこなしているはずなのに。今日は夏休み中一番最悪な日かも知れない。

「暑い!暑い!緑間の鬼!」

私はリアカーをチャリを漕いでひいている。このスタイルは我が秀徳高校ではよく見るものだった。
今リアカーに乗っている緑間と高尾が毎日このスタイルで登校していたりするのだ。
なのに、今日という日は。気晴らしにアイスを買いに行ったコンビニでばったりこの二人に会い、何故か私がチャリを漕ぐことになってしまったのだ。オマケに買ったアイスまで食べられた。

「ふん、うるさいのだよ。少しは黙って漕げ。」

後ろを見れば偉そうにリアカーに乗っている大きな荷物が一台、申し訳無さそうな顔をしながらも少し嬉しそうな荷物が一台乗っている。
蛇行運転をしてそのおしるこ(つめたい)をお前のその顔にぶちまけてやろうか!などと考えていれば目的地に着いてしまった。

「じゃあ帰るから。」

明らかに不機嫌な私に高尾は気を使ってなのか近くまで送るとかなんとか言っているけど、今のイライラした私にはそんな言葉さえもイライラの材料になってしまう。
そのまま軽く高尾をあしらって帰ろうと思っていたら、ふいに右手を掴まれた。
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