エースコンバット5 とある艦の物語

□オーレッドへ
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『空母ケストレルブリーフィングルーム』
今日も俺や各艦の艦長が集まっている。ブリーフィングルームにラーズグリーズ隊のメンバーがいないことから、今日集まった理由は今後の艦隊の動きについてだろう。そう思っていた時、いつも通りにアンダーセンが入って来た。だが、もう1人が入って来て、ブリーフィングルームはざわめいた。もう1人はハーリング大統領であったからである。普段、ハーリング大統領はブリーフィングには参加していない。なぜ、今になって参加したのか。そして、ハーリング大統領は入って来るなりとんでもないことを言った。
「私はオーレッドへ行こうと思う」
それを聞いた俺とアンダーセン以外の艦長たちはさらにざわめいた。無理もない。今オーシアは完全にベルカによって操られている。ハーリング大統領がヘリでオレッドへ向かった場合、最悪ハーリング大統領ごと撃ち落とすだろう。だが、俺は別に心配はしていない。ハーリング大統領は元第32大隊『地獄の犬』の隊長だなにか策があるだろう。さもなければこんな無謀なことはしない。
「本気ですか、大統領」
「そうです、大統領の身に何かあれば」
俺とアンダーセン以外の艦長たちは当然反対した。もし、大統領の身に何かあれば、この戦争を終わらせることが出来なくなる。
「ああ、本気だよ。もうこれしか方法がない」
確かにハーリング大統領の言うと通りである。いままで通りでラジオ周波数でこの戦争の真実を語り続けても、くそアップルルースたちによって全てもみ消されてしまう。
「しかし、アンダーセン艦長も何か言ってください」
「私でも無理だよ。ハーリング大統領とは古い付き合いだが、昔から自分で決めたことは必ず成し遂げるんだよ」
俺が第32大隊にいたころもそうであった。ハーリング大統領。いや、ハーリング隊長が言い出した時は我々がいくら反対してもそれをやる。だが、ハーリング隊長が言い出した時は必ずなにか策がある時である。そのお蔭で第32大隊は陸軍の中の模擬戦は常に勝利している。さらに、ベルカ戦争時は連合軍の中で一番、戦死者が少ない隊であり、その確率はほぼ0に近い。そう、ハーリング隊長が言い出した時は必ず隊全員の安全と成功する時である。
「その通りだ。策はある。第一艦隊を使うんだ」
オーシア海軍大統領直属艦隊第一艦隊。イージス艦15隻、巡洋艦15隻、駆逐艦10隻、フリゲート艦5隻、空母4隻、戦艦1隻という大艦隊であり、かの有名な旧エルジア海軍の無敵艦隊エイギル艦隊が沈められた今、オーシア海軍大統領直属艦隊第一艦隊こそが無敵艦隊と呼ばれている。この艦隊はその名の通り大統領直属であり、艦隊を動かせるためには大統領と艦隊司令官と直接会わなければいけない。また、第一艦隊の人員の配備も大統領しかできず、そのため、くそアップルルースたちじゃ動かせず、現在、第一艦隊全艦はオレッド軍港に停泊中である。また、ユークトバニアの宣戦布告時の奇襲攻撃の時もオーレッド軍港に停泊中だったため、オーシア海軍の中で唯一無傷の艦隊である。
「確かに第一艦隊を使えばオレッドへ行くことが可能ですが。どうやって第一艦隊の艦隊司令官と直接会うのですか」
そうである。第一艦隊は大統領と艦隊司令官と直接会わなければ動かせない。だが、大統領はニヤリとした。
「そのことなら心配ない。実は私と艦隊司令官しか知らない通信周波数があるのだ。それを使用する。無論、本人確認のためにある言葉を言わないといけないけどね」
さすがにこうまで言われると反対する艦長たちはもう賛成するしかなかった。
「大丈夫だよ。私は必ずオーレッドへ
無事に着くよ」
ハーリング大統領は最後にそう言い、ブリーフィングルームを後にした。
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