エースコンバット5 とある艦の物語

□セレス海海戦 後
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セレス海海戦 後
主砲が撃つと同時にラーズグリーズ隊のF-35も対艦ミサイルを発射。砲弾と空対艦ミサイルは味方艦隊の後ろにいるユークトバニア艦隊の3隻に命中。2隻は艦橋付近に命中し炎を上げながら海へと沈んでいく。だが、残り1隻の駆逐艦は炎を上げているものの、撃沈には至らず、いまだ健在であり、その駆逐艦の主砲が味方艦に向く
「くそ!主砲照準合わせ、目標・・・なっ!」
味方艦が撃たれる前に敵艦を沈めようと、主砲の目標を駆逐艦と言おうとした時、2発の砲弾が駆逐艦に命中し、爆発を起こし、爆沈した。一体どこから?
「艦長!ピトムニクを!」
乗組員の1人がそう叫び、俺はピトムニクを見る。すでにピトムニクは炎を上げ、かなり傾斜していた。だが、主砲の砲身を見ると白煙を上げていた。先程の攻撃はピトムニクがしたらしい。
≪聞こえるか、オーシア空母ケストレル。こちらはユークトバニア海軍フリゲート艦ピトムニクだ≫
雑音が少し入っているが、それは紛れもなく最初に艦隊司令官に異議を唱えた、ピトムニクの艦長の声であった。
≪本艦もケストレルと合流したいが、もう艦が持たん・・・≫
≪ピトムニク!退艦を!≫
味方艦グムラクの艦長がそう言うが、帰ってきたのは悲しい答えであった。
≪無理だ、最初の攻撃でCICから外に出る通路がやられた。だが、他のブロックの乗組員は退艦済みだ。残っているのはCICにいる乗組員だけだ。ケストレル、彼らの事を頼む!貴艦らの幸運を祈る!≫
ピトムニクの通信が切れると同時に敵イージス艦が放った対艦ミサイルが命中し、一気に海へと沈んで行った。
「くそ!」
≪各艦へ!ピトムニク勇気ある行動を無駄にするな!敵艦隊は3隻の駆逐艦が失って陣形を立て直している。今のうちに味方艦隊と合流し、本艦隊の陣形を整える≫
≪こちらグムラク!ケストレル、本艦隊は全艦、そちらの指揮下に入る!≫
味方艦隊は全艦無事に本艦隊に合流し、陣形を整える。一方、ユーク艦隊も3隻の駆逐艦を失ったため陣形を立て直していた。だが、敵空母から艦載機のSu-33が次々と発艦していく。今の所はラーズグリーズ隊が発艦したSu-33を落としているが、このままだとさすがにまずい。すべての艦載機を発艦する前に空母を沈めなければ物量で負ける可能性がある。そのことも、ラーズグリーズも思ったらしく、ラーズグリーズ隊の2機は敵空母左右から挟み込み、対艦ミサイルを発射。ファランクスで左右から来る対艦ミサイルを迎撃するが間に合わず左右から対艦ミサイルが1発ずつ命中。その1発が弾薬庫に直撃し、敵空母は大爆発を起こし、真中からへし折れあっというまに海の藻屑になった。それと同時に本艦隊の陣形が整った。
「ケストレルから入電!敵艦隊の陣形が立て直す前に右翼に展開する敵艦隊をたたく。以上」
「よし、主砲発射用意!目標右翼敵艦隊!撃ち方始め!」
僚艦と本艦は右翼に展開する敵艦隊に一斉攻撃を開始。右翼に展開している艦隊は回避行動を取るが1隻のフリゲート艦が艦橋に直撃弾を受け、艦橋が吹き飛び航行不能に。また、フリゲート艦の後ろにいた駆逐艦にも艦橋付近に命中、それを追い撃ちをかけるようにラーズグリーズ隊の1機が対艦ミサイルを発射。駆逐艦は左舷に対艦ミサイルを喰らい、炎上する。
≪火災発生!消火不能!≫
≪第3、第4ブロックにて浸水!≫
≪くそ!総員退艦!急げ!長くは持たんぞ!≫
≪フリゲート艦ザーフトラ航行不能!駆逐艦ボイキイ沈みます!≫
一方、左翼に展開していた敵艦はラーズグリーズ隊と交戦していた。すでに2隻のフリゲート艦は撃沈し、最後の1隻の駆逐艦はラーズグリーズ隊を撃ち落とそうと弾幕を展開し、SAMを発射。だが、ラーズグリーズ隊のF-35はSAMをギリギリまで引き付けて、バレルロールしながらフレアを発射、SAMはフレアに騙され別の方向に飛んでいく。ラーズグリーズは一旦上昇し、そして駆逐艦から放たれる弾幕を掻い潜り急降下を開始、対艦ミサイルを発射し、機体を垂直に戻す。対艦ミサイルは駆逐艦の船首に命中し炎が上がる。
≪第2ブロックにて火災発生!≫
≪なっ!弾薬庫の近くではないか!消化を急がせろ!弾薬庫に引火でもしたら、艦が吹き飛ぶぞ!≫
≪駄目です!火の手が強すぎて、もう手の施しy・・・まずい!引k・・・≫
駆逐艦は弾薬庫に引火し空母と同じように大爆発を起こし、海へと沈んでいく。これで、残ったのは中央にいるイージス艦と巡洋艦のみ。
「レーダーに新たな艦影あり、IFF照合・・・味方艦隊です」
「やった!これで俺たちの勝ちだ!」
ホークスからの報告を聞き誰もが勝利を確信した。そう、俺やアンダーセン、ホークスはそうは思えなかった。
「ホークスどこの艦隊だ」
「よりによって第二艦隊です」
「やはりか、おそらく敵になるぞ」
「えっ?艦長、味方艦隊ではないですか」
「第二艦隊の艦隊司令官は好戦派で有名な奴だ!」
オーシア国防海軍第二艦隊、イージス艦2隻、巡洋艦2隻、駆逐艦4隻、フリゲート艦7隻の合計15隻の艦隊である。だが、ユークトバニアの宣戦同時攻撃でイージス艦1隻、巡洋艦1隻、駆逐艦2隻、フリゲート艦5隻を失い、現在、6隻の艦隊である。その、第二艦隊の艦隊司令官は好戦派で有名であり、裏でベルカに繋がっていると思われる男の1人である。
「艦長の言う通りだ。第二艦隊はこちらの事を裏切り者だと言っている」
「やはり敵になったか。・・・ケストレルはこのことは?」
「データリンクしているのですでに気付いている。どうやら、アンダーセン艦長もこうなることは予測していたようだ。第二艦隊の主砲が有効射程内に入る前にユーク艦隊を沈める、たった今のケストレルからの入電だ」
「第二艦隊の主砲が有効射程内に入るまであと、どのくらいある?」
「約20分です」
約、20分。その、時間内に残り2隻のユーク艦を撃沈しなければいけない。また、ラーズグリーズ隊の補強のことを考えると約10分。だが、残った隻はイージス艦、巡洋艦である。そう簡単ではない。
「艦長!イージス艦、巡洋艦がこちらに突っ込んできます!」
「何!」
≪ただでは終わらん!空母ケストレル!貴様を道連れしてくれる!≫
あの野太い艦隊司令官の共にイージス艦、巡洋艦がスピードを上げ、本艦隊、いや、ケストレルに向かっていく。奴ら!ケストレルに特攻する気か!
「やらせるか!主砲、照準!前方!ユーク艦2隻!」
「了解!主砲、照準!前方!ユーク艦2隻!」
「撃ち方始め!」
ケストレルに突っ込んでくるイージス艦、巡洋艦に僚艦、本艦、そして、ラーズグリーズ隊が一斉に攻撃を開始、無数の砲弾と対艦ミサイルが2隻に襲い掛かる。海面には水柱が多数上がり、イージス艦、巡洋艦にいくつかの攻撃を喰らい、炎が上がる。それでも、2隻はいまだ特攻をやめない。まるで、乗組員たちの執念が取りついたように。
「敵艦2隻いまだ、ケストレルに向かっています!」
「本艦の攻撃を巡洋艦に集中させろ!」
「了解!」
主砲を巡洋艦に向け、撃ち方を始める。本艦から放たれた数発の砲弾が巡洋艦に襲い掛かり、その1発が巡洋艦の艦橋付近に命中。艦橋の一部が吹き飛び、艦橋は半壊し、巡洋艦は動きを止める。
「巡洋艦に直撃弾を確認!航行不能になった模様!」
その時、巡洋艦から何かが発射された。それと同時に巡洋艦は爆発を起こし、海へと消えていく。だが、発射された物はこちらに向かって来る。それは・・・
「対艦ミサイル本艦に向かってきます!」
対艦ミサイル。
「迎撃!弾幕展開!」
「すでにやっています!ガレ艦長!」
ファランクスは対艦ミサイルに向けて撃ち続け、弾幕を展開する。だが、対艦ミサイルはそれをすり抜け、本艦へと向かって来る。
「対艦ミサイルいまだ健在!弾着まで約10秒!」
「駄目です!迎撃間に合いません!ガレ艦長!」
「総員衝撃に備えろ!」
俺や乗組員は対艦ミサイルの弾着の衝撃に備える。そして、
「「「「「「「う、うわぁぁぁぁぁぁ!!」」」」」」
「「くっ!」」
艦に衝撃が走り、乗組員たちは悲鳴を上げる。CIC室に赤いランプが点滅し、警報が鳴り響く。
「状況報告!」
「対艦ミサイル本艦にあたる寸前に爆発した模様!」
どうやら、ギリギリのところで、直撃は回避できたらしい。
「被害状況は!」
「浸水、及び火災は発生していません!しかし、レーダー、防空システムがダウン!その影響のため、SAMは使用不可!ファランクスは命中精度大幅に低下!」
「復旧は可能か!」
「できますが、すぐには・・・」
直撃は回避できたものの、衝撃でレーダーと防空システムがやられたらしい。まだ、イージス艦と第二艦隊が残っていると言うのに!
「レーダーはデータリンクでどうにかできる。防空システムを優先して復旧させろ!」
今の艦は航空機には丸腰だ。もし、この状態で航空機に攻撃にもされたら手も足も出ないで、すぐに撃沈される。そのため、レーダーより防空システムの復旧を優先させた。それに、レーダー方はデータリンクでどうにかできる。
「艦長!ラーズグリーズがやりました!イージス艦に直撃弾!」
「本当か!」
すぐに、前方を写しているモニターを見ようとするが、モニターのいくつか先程の衝撃でいくつか死んでいた。かろうじて生きているモニターもあるが、少しノイズが入っている。だが、一つだけ、ノイズも走っていないモニターがあった。そのモニターは炎を上げている、イージス艦鮮明に写していた。
≪バカな、寄せ集めの艦隊がここまで連携が取れるはずがない・・・・・・あってたまるか・・・こんなこと!あってたまるか!うわぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・≫
ユーク艦隊の艦隊司令官の断末魔と共にイージス艦は大爆発を起こし、真中からへし折れ、イージス艦の艦首が空へと突き上げ、そして、海へと沈んで行った。これで、ユーク艦隊は全滅した。だが、次なる敵が迫って来ている。オーシア国防海軍第二艦隊。ハーリング大統領をベルカに売った男が指揮する艦隊が。
「オーシア艦隊が本艦隊を有効射程内に入るまで約10分」
「防空システムの復旧急がせろ!」
防空システムを復旧させるため、乗組員たちは慌ただしく動く。ラーズグリーズ隊はケストレルへと着艦し、次なる敵に備え、補給に入る。

セレス海海戦は第二幕に入るのであった。
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