短編小説置場。

□風、光る
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「おい、起きろよ」

つんつん。

「起きろって」

ゆさゆさ。

「起ーきーろー」

ばしばし。

…効率がいい、筈なのだが。
何度呼んでも揺すっても叫んでも叩いても起きる気配を見せないブウサギを前にして、ルークは両手で自身の頭を掻き毟った。

「あーもう、うっぜー!」

無意識に本音が出る。
周りに人が居なくて良かったと後で思った。
(仲間内ならまだしも、メイドや兵士達に聞かれたとなると何と思われるか分からない)

叫ぶことにも疲れたルークは、ブウサギへと身を任せながらその場へと座り込んだ。
動物特有の暖かさと、規則正しく上下する感覚が何とも心地よい。
産毛が頬をくすぐるが、それもまた柔らかくて今のルークには気持ちが良かった。

「………あったけー…」

思わず口をついて出た呟き。
確かミュウもこんな感じだったような気がする。
いつだったかの記憶を呼び起こしながらそう考えた。
窓からは太陽の陽気が惜しみなく、だが丁度良い具合に降り注いでくる。
本当に心地が良い。
このまま昼寝でもしてしまいたい気分だ。
もっとも、昼寝にしては若干時間が遅すぎるような気もするが。
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