短編小説置場。

□甘口コメンテーター
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因みにガイは次に向かう街への道のりを確かめに、今はこの場を離れている。
ミュウの姿が見えないのは、多分主人に代わって女性陣の手伝いに行っているからだろう。

「おやおや、怒られてしまいましたねぇ」
「……るせー」

笑顔で軽くそう話しかけると不機嫌な声で返事をされた。
そんな態度が自分の嫌味が炸裂する原因になるのだとは露知らず。

「まあ、貴方は好き嫌いが多すぎますから。こうやって苦手を克服していくのもいい経験だと思いますよ」

うう…と彼が言葉に詰まるのは今で何回目だろう。
言い知れぬ優越感をジェイドは感じた。
…悪趣味だとは自分でも思うが。

そんなことを考えている内に、ルークは何を思ったのか俯けていた顔を上げて。

「…なぁ、ジェイド」
「お断りします」

向こうが何を言いたいのかは何となく分かっていたので、全てを言い終える前にジェイド自らが遮る。
それはもう爽やかな笑顔と言葉で。
その事によってルークはまだ何も言ってないだろ!と自分に向かって文句をこぼす。

「分かりますよ…そんな『ジェイド、人参食べて欲しいな(はぁと)』と言いたげな目で見られてはね」
「う、いや、それは…つかキモイ。訳の分かんねー語尾つけるんじゃねぇっつーの!」

的を得ているが茶目っ気精神たっぷりに脚色した(それもどうかと思うが)ルークの心の代弁。
それを口にしてみたところ、それなりに精神的ダメージの効果があったようで。

いやあ、楽しくて仕方がありませんね。

「傷つきますねぇ〜、貴方の胸のうちを読んで差し上げただけですが」

どこがだ、どこが!
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