短編小説置場。
□それは所謂
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「冗談ですよ」
「え!」
さらりとそう告げると、弾かれたように顔が上がった。
「っ、ま、またかよ…!!」
「すぐに騙される貴方がいけないのですよ」
屁理屈に屁理屈を重ねるジェイドの言葉に、一体何度ルークが頭を抱えたことか。
そんなルークを見るたびに自分は、愉快だと思う。
…それ以上の何かがあることにはあえて、触れないで。
(…それを認めてしまったら、私は)
「さ、子供はもう家に帰る時間ですよー。さっさと宿に戻って下さい」
「だっ…誰が子供だっつーの…くそっ」
結局散々馬鹿にされて不快な思いをしたのはルークで。
からかうことは楽しんでやっていたこと。
それが『一緒にいてはいけない』と暗に告げるための行為になったのはいつからだろう。
…最近の自分は本当にうわの空であることが多くなったと思う。
「……何ですか」
ぴたり、と額に張り付いてきた温もり。
ジェイドの様子を大して気にかけるわけでもなく、ルークは「んー」と唸りながら
「…熱、あるわけじゃねーんだな」
先程手を遮られたことが気に入らなかったのだろう。
改めて触れなおされた手は、温かくて。