短編小説置場。
□それは所謂
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それは事実。
ただでさえ許されない、ジェイドの所業とルークの存在。
お互い恨み合ってもおかしくはない立場。
(それなのに、私は)
「ジェイド?」
ひょい、と音が出るような感じでジェイドの顔を覗き込んできたルーク。
それに目が覚めるような思いがして、現実へと返される。
「どうしたんだ、お前?何か変だぞ」
不覚にも人が…しかもルークが居る前で、堂々と考え事に耽ってしまっていた。
何でもありませんよ、と言うより早くルークの手のひらがジェイドの額に伸びた。
「熱でもあるんじゃ…」
「ご心配なく。私は軍人ですから」
すかさず伸びてきた手を右手で掴んで、いまいち不自然な言葉を口にした。
「…軍人だったら風邪引かないって言うのかよ」
予想通り、不服そうなルークの表情が目の前に。
手袋越しに伝わってくる体温がやけにリアルだ。
「ええ。そういう風に鍛えられているのですよ」
そう言うと、そうなのか…?と自身の言葉を信じ始める子供。
何やら考え込んで、「あとで誰かに聞いてみよう」と言った感じの表情を見せている。
…純粋すぎるのも困りものだ。