短編小説置場。

□ふわり
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貴方の為に捧げよう。
安らかな時間を。
確かな温もりを―――





ふわり





夢を見た。
見慣れた水に溢れている風景。
優しく包んでくれる太陽の暖かい光。
その空の下、もう一つの太陽とでも称せるだろう彼が笑っているのだ。
噴水があちこちで水を噴出している大きな広場を自由に駆け回って。
何がそうさせるのかは分からないが、楽しそうに…そして嬉しそうに振り返りながら呼ぶのだ。

ジェイド

自分の名を。
近付くと、より一層笑みを深めて見上げてくる。
するとまた彼は自分の名を呼んだ。

ジェイド

そして自分は声に応じるかのように彼を抱きしめた。
普段ならここには兵士やら上流階級の者といった数人の人がいるのだが、今はいなくて。
だからこそこんなことが出来るのだと。
心の中で呟きながら抱きしめると、彼はくすぐったそうにしながらも自分の胸元へと顔を埋めた。

…ジェイ、ド
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