短編小説置場。

□ほしいのは、ただひとつ。
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ルークには悩みがあった。
真剣に悩んでいた。
それはもう周囲の人間から見たら異様なまでに。
(本人は隠しているつもりだが、それを見抜けない仲間たちではない。)

そしてその原因が一体何なのかと言うと。
言わずもがな集団の中で年長者のあの男のことな訳で。

…それこそまるで、恋する乙女によく見られる小さな悩み。




ほしいのは、ただひとつ。




「さみぃ…」

ケテルブルグにて一夜を明かすことになった一行は、宿に落ち着いた後は自由行動となっていた。

「本当ですね。やれやれ…年寄りにはこたえます」
「お前がそれ言うとうさんくさい言葉にしか聞こえないんだよ…」

この日の買出し当番はルークとジェイド。
特に何も変わらず、いつものようにジェイドにからかわれたり馬鹿にされたりしながら用を済ませていた。
それを全て終えて、ようやくの帰り道。

「はー…やっと休めるぜ…」
「いやですねぇ、若い人が年寄りくさいこと言わないでください。ジジくさいですよ」
「ジジ…!?っだーもう、うるせぇ!さっさと帰るぞ!」

すぐムキになるところはお子様なんですけどねぇ、と馬鹿にしたようなことを言うジェイドに再びルークが噛み付く。
そんな他愛の無い会話を交わしながら宿へと歩を進めていく二人。
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