短編

□あげない
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「大丈夫、誰にも言わないから本当のこと言っちゃいなよ」

「だからっ、本当にしてないんだ…寸前まではあった…けど」

小さな声でごにょごにょと言うカガリ。

何を言ってるか最後まではわからなかったけど、肝心なトコロはばっちり聞こえた。

こういう時はコーディネーターでよかったかも、と思う。

「寸前まで?!いつ?いつしたの?」

「なっ、いつって…いつでもいいだろ」

「よくないよ!なんでキスしなかったの?」

「なんでって、お前のせいだろ!お前が途中で部屋に入ってきたからっ!」

「え?」

僕のせい?

あぁ、そう言えば思い当たる節があるような…。

「もしかして、一昨日のこと?」

「…ぅん」

あーそれは悪いことしちゃったな。

アスランの精一杯の勇気だったんだろうな。

キラは自分のファーストキスを思い出しながら思った。


「それじゃあ、僕がキスしてあげようか?」

「は…?」

何言ってるんだ、お前。

カガリの顔にはそう書いてあった。


でも、正直言って、まだカガリをアスランにあげるつもりはない。

キスしてないってわかって、ちょっと安心した。


「僕がしてあげるよ」

「いやいやいや!それは変だろ!」

「変じゃないよ!アスランとする時に失敗しないように練習だと思えばいいから」

「でも…」

「弟としても回数には入らないよ。それとも、僕とじゃ嫌?」

「嫌なんかじゃ…!」

「じゃあ、ね?目、閉じて」

うー、と小さく唸ってカガリは目を閉じた。

火照った頬に触れると、カガリはぴくりと身体をふるわせた。

かわいーなぁ、さすが僕のお姉さん。


「いくよ…?」

カガリが小さく頷くのを確認して、僕は顔を近づけた。


心の中で、ラクスに謝った。

浮気じゃないから、許してくれるかな。

ラクスもカガリのこと好きだしね。




ちゅ。



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