短編
□真夜中のジュリエット
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偽りの笑顔
美辞麗句ばかりの祝いの言葉
社交辞令だらけのパーティ
誰か私をここから連れ出して
『真夜中のジュリエット』
時計の針が0時を過ぎる頃、カガリはやっと自室のベッドに身を沈める事ができた。
昨日は他のどんな日より長かった。
5月18日。
喜ばしき誕生日だ。
疲労を訴える体に抗がわず目を閉じた時。
小さい物音がした。
体を起こして部屋を見渡すと、締めていたはずだったバルコニーに続く窓から入る風でレースカーテンが緩やかに揺れていた。
月明かりに照らされて、それに写り込む人影が一つ。
「アスラン」
カガリはその影の主の名前を、確信を持って呼んだ。
影は風のようにふわりと部屋に入った。
そして、その冷えた指先でそっとカガリの頬を撫でた。
「俺じゃなかったら、どうするんだ。カガリ」
「お前じゃなかったらこの部屋には入れないぞ」
「どうだか」
アスランはおどけながら、身につけていたマントのような外套を外した。
音を立てないようにカガリのベッドに上がり、カガリをゆったりと抱きしめる。
「パーティは楽しかった?」
「そんなわけないだろう。意地が悪いぞ」
「ごめん」
アスランはそっとカガリの髪に詫びのキスをした。
アスランも、わかっているはずだ。
彼もあの場にいたのだから。
互いに余所行きの姿をして、他人行儀な会話を交わした。
目すら会わせなかった。
「楽しかったって言われたら、嫌だなって…」
「馬鹿か、お前」
「ん…そうかも」
「そうかもじゃなくて、馬鹿なんだよ」
添い遂げる事はできない関係とわかっていながら、私の手をひくなんて。
差し出された手を取った私も私だけど。
「連れ出してほしかったな…」
あのパーティという名の箱庭から。
「どこに…?」
「どこにでも。アスランが居るなら」
「我が儘だな」
「誕生日くらい許してもらえるだろ」
「もう終わっちゃってるよ」
アスランが部屋に現れる前から、とっくに誕生日は終わっていた。
わかっていたけど、誕生日はこんなに味気ないものだったのだろうか。
幼い頃はもっと楽しかった、嬉しかった。
それはきっと、愛する人に心からの祝福の言葉をもらっていたからだ。
「おめでとうって俺が一番に言いたかった」
「無理だろ」
「理解はてしるよ。でも納得はできない」
「うん…それは私もだ」
ぎゅっとアスランにしがみついた。
この体温がとなりにあることが、夢ではないていうことを確認したくて。
「だから、だからさ…この時間だけは、この家に縛られていることを忘れさせて。連れ出してよ、アスラン」
そんなこと現実にはできないってわかっているのに、口にしてしまうのはアスランが好きだから。
「カガリの頼みなら、どこにでも連れて行くよ」
そして悲しそうな目でほほえんでくれる彼も、きっと私と同じ。
ねぇ、もっともっと遠くまで行きたい。
すべてを忘れられるくらい遠くまで。
fin
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あはは
もう30分もないってのに今更何を足掻いているんだか。
またまた1時間程で書きました。
全く祝ってません、すいません
こんなグダグタな話ですいません
せめて何かしたかった…!
カガリんほんと大好きです
誕生日おめでとう
キラも大好き
双子ハピバー!
20100518