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□同行者2
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※『同行者』の帰り道バージョン
カタンコトン、と一定のリズムを刻む、人も疎らなお昼すぎの電車。
ローカル線なので日常的に人は少ないが、今日は土曜日だ。
出掛ける人が多いだろうから、反対側の都会へ出る路線は混んでいるかもしれない。
列車の心地好いリズムに揺られながらアスランはぼんやりと思った。
ふいに隣に視線を移すと、鮮やかな金の髪が上下に揺れていた。
てっぺんまで昇った太陽の光が反射してキラキラと光っている。
眩しいくらいの髪に触れてアスランはそっと名前を呼んだ。
「カガリ」
「ん・・・」
「眠たいの?」
「ん…だいじょうぶ、だぞ」
「肩貸そうか?」
自分達の車両には他に誰もいないのだから気にすることもなかったのだが、アスランはなんとなく小声で話していた。
二人で内緒話でもしているかのようだった。
「でも、おまえは?」
「俺は大丈夫、駅に着いたら起こしてあげるから」
そう言ってやるとカガリはコテンと頭をアスランの肩に乗せた。
そしてすぐに穏やかな呼吸が聞こえはじめる。
アスランはカガリを起こさないようにしながら、すぐそばにあるカガリの手に自分の手を重ねた。
普段は恥ずかしがってさせてもらえないから。
おまけにきゅっと握ってみる。
それでもピクリともしない彼女はそうとう疲れていたのだろう。
テスト勉強に追われて毎日徹夜だとか言ってたし。
自分たちが降りる駅までまだ充分と時間がある。
自宅から近い場所にある進学校を蹴って、電車通学で登校時間もかかる学校へ行って良かったと、運動神経はいいけど頭はイマイチで近場の学校には行けなかったカガリを追い掛けて良かったと、こういうときはいつも思う。
「おやすみ」
同行者2
(寝顔が見れるのも役得)
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これも前のように電車で眠たいとときに書いてました
20101206