本棚:AC
□同行者
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※学パロ幼なじみ
通勤ラッシュに巻き込まれるお付き合いして間もないアスカガ
早朝の通勤電車。
定員オーバーなんじゃないかと思うほどに詰め込まれた、冬なのに蒸し暑い車内。
アスランは昨日まで、この時間帯より早くて空いている電車に乗っていた。
しかし今日はラッシュ時の混み合った電車に乗った。
その理由は。
「なぁ、朝から付き合わせてごめんな」
扉の横の壁に手を着いたアスランの腕と壁の間でモゾモゾと動くこの存在があるからだ。
知り合って10年、友達という枠組を越えられたのは、つい最近のこと。
漸く誰の目も気にせずに二人で通学できるからと、待ち合わせしようと約束したのは昨日の帰り道。
本当は2本前の電車に乗っているはずだった。
「仕方ない、カガリが朝起きられないのは知っていたし」
「う・・・ごめん」
「いや、カガリと一緒に居られる時間が増えるからこれはこれでいいよ」
「あ、わ、私も、一緒に居られて・・・」
嬉しい、と電車の走行音に消え入りそうな声をアスランは聞き逃さなかった。
カガリの不意打ちは毎度アスランの理性を粉々に打ち砕こうとする。
ヤバい、抱きしめたい。
そう思ってみても、ここは電車内。
気恥ずかしくなって俯いたカガリが、抱きしめるように抱えている自分と彼女の鞄さえ恨めしく思えた。
鞄にまで嫉妬するなんて・・・
「重傷だな」
「え、今何か言った?」
「いや、何でもない」
抱きしめられない代わりにカガリの髪にキスを一回。
カガリはすぐさま顔を真っ赤に染めたが、普段のように暴れだすことはなかった、と言うよりしたくても出来ないんだろう。
そのあと仕方なくといった様子で、カガリはアスランのに体を預けてくれた。
「いいな、こういうのも」
「私は絶対嫌だ」
明日からはちゃんと起きると張り切るカガリを見つめながら、アスランは明日からはこの電車に乗ろうと決めていた。
同行者
(くっついても怒られないのは役得)
20101205
実際に巻き込まれた時に書いてました