本棚:AC

□タイトル未定。
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私には双子の弟がいる。

何でもできる、自慢の弟だ。


「だから、ここは式が違うって何度教えればいいんだ?」

「だってさっきと問題が違うじゃないか」

「考え方は同じだ。勉強する気あるのか?」

「うるさいなぁっ!お前とは違うんだよっ」

そう。

全然違う。

誰が見ても「似てない」と言われる私たち。

いくら二卵性だったとしても、姉弟並には似るはずなのに。


「カガリ?」

「っ…!」

急に黙り込んだカガリをアスランがのぞき込んだせいで、ぐっと近くなった距離に思わず後ずさった。

顔が熱い。

何で頬が赤くなるんだ。

おかしいだろ、姉弟なんだぞ。

「ごめん、急に黙ったから」

「あ…いや、私こそごめん」

優しいアスランは、どうしようもない姉を心配してくれただけ。

わかっていても高鳴る鼓動は抑えられない。


「カガリ」

「え」

呼ばれて顔を上げた時、視界が揺れた。

腕を引かれてアスランの胸に倒れ込んだのだと理解した瞬間、頭の中が真っ白になった。

「顔が赤いから熱でもあるのかと思ったけど…」

「ぁ…」

背中に腕が回されて、二人の肌が触れ合う。

耳元で囁く男の声。

心地いい。

ずっと聞いていたい。


「平気みたいだな」

「ん…」

「カガリは小さい頃からこうすると大人しくなるよな」

「うるさい…ほっとけ」

相手の体温を感じながら、広い背中にそっと腕を回した。

ドキドキするのに何故か落ち着くのは、産まれる前から一緒に居たからだろうか。


「カガリのそういうところ…俺は好きだよ」

好きだなんて簡単に言わないでほしい。

ただでさえ心臓に悪い言葉なのに。

期待してしまうじゃないか。


「私はアスランのそういう意地悪なところ、嫌いだ」

「あれ?本音なんだけどな」

そう言ったアスランの顔は笑っていた。

あぁ、やっぱり私をからかっただけなんだな。

期待しても傷つくだけだとわかっているのに、期待せずには居られない。

姉弟のスキンシップだって、私にはもう違うものになっている。

好きな人に、ふれあえる大切な時間。


カガリはアスランの腕の中で、そっと目を閉じた。

その時に頬を流れた一筋の涙は、カガリもアスランも気付くことはなかった。






20100714



コレ書いたのは何ヶ月も前なんですけど、UPしてなかったみたいです。

私、こういう禁断系パロが相変わらず好きです

アスランが弟ってのが、気に入ってます

そして、このアスランは腹黒そうですw

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