□第四話
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眠れない…。

こんなに眠れないのは、初めてじゃないだろうか。

アスランは深くため息を吐き…そうになって止めた。

目の前で、ぐっすり眠る彼女が起きてしまうかもしれない。


どうして、こうなったんだろう。

アスランは数時間前の自分の行動を思いだして後悔した。








「眠い」

朝まで居てほしいと言われ、数分後。

ユラがつぶやいた。


「寝るか?」

「うん」

ユラはもそもそと布団の中へ潜っていった。

アスランはその様子を見ながら動けなくなった。

この部屋に布団は一組しかない。

ユラは寝ると言った。

自分もさすがに一日中起きておくなんてできない。

どこで寝ればいいのだろう。

遊郭に来る経験はあっても、泊まる経験は初めてのアスラン。

客と遊女が一緒の布団で寝ることは、何となくだが知っている。

だけど、アスランとユラは客と遊女の関係ではない。


狼狽えるアスランに気付かないまま、ユラは自分の隣にスペースを空けた。


「ほら、アスランも!」

ポンポンと自分の隣をたたく。

「いいのか?」

「何が?」

「いや…」

アスランにも自分が何が言いたいのかわからなかった。


「一緒に寝ると暖かいからな」

「俺は湯たんぽか」

「ん?違うぞ、アスランはアスランだぞ?」

「あぁ…」

なんだか会話がかみ合っていない気がするか、アスランは気にしないことにした。

そして、意を決してユラの隣に潜り込んだ。



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