御題
□愛される代償に
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「や…やめっ…ん」
「カガリ…」
「いや…っ…王子っ!」
幼なじみだった君は
いつのまにか、俺の名前を呼ばなくなった
距離は離れていくばかりで
美しくなっていく君を離したくなかった
《愛される代償に》
「カガリ…」
名前を呼んでも振り向いてくれないのは、最近では日常茶飯事になった
いくら躰を繋げても、想いは繋がらない
わかっていても、アスランにはこうする事以外、方法がわからなかった
「愛してる…」
素肌のままの背中を抱き寄せるとカガリは身を捩って腕から逃れようとした
「やめてください…」
「どうして?」
「私は貴方の婚約者でも、恋人でもありません…ただの侍女です」
「でも君は俺の幼なじみだ」
「そんな事忘れてください」
腕の力を緩めると、カガリはすぐにベッドから出てしまった
離れた途端に感じる淋しさ
カガリ以外、きっとこの淋しさを埋められない
わかっているのに、伝わらない
もどかしくて、思わず聞いてはいけない事を聞いてしまった
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