白昼夢
□其の五
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い…つ?
そんなこと聞くなんて、まるで、まるで……
「め、明治の6年……じゃ…?」
生きている時が違う…みたいな、言い方…
「うーん。少なくともね、それより200年ぐらいたってるんだよね、今って」
沖田が、楽しそうに笑みを浮かべる。
「え…?だって、そんなことっ」
「まぁそんなことよりさ」
そんなこと!?
「おいでよ、千鶴ちゃん。みんな集まってるから」
文句を言おうとしたら、それよりも先に沖田さんが私の手を引っ張って行こうとする。
しかし、私は床よりも高いところで寝ていたようだ。
そのため、彼のその突然の行動に、自分が寝ていたところから落ちそうになり、文句もひっこみ、一瞬なにも考えられなくなる。
「かあさまっ!」
「っ!っと…大丈夫か?千鶴」
気づくと、私の体は抱きとめられていた。
そして、長い間恋い焦がれた声が上から降ってきた。
見上げれば、紅い髪に、蜂蜜色の瞳。
「さ…の…っ」
あぁ、言葉が出ない。
ほんとうに、これは夢ではないの?
今更夢でしたなんて、私には耐えられない。
「千鶴、泣いてちゃ何が言いてぇんだかわかんねぇよ。な?ほら、涙こらえろ」
言われて、一度目をぎゅっと瞑って、開く。
「久しぶりです、左之助さん」