book

□君を傷つけるのも泣かせるのも他の誰かで
1ページ/1ページ



2年間付き合っていた彼氏に振られた。
毎日していた電話もメールも、ある時からぱったり来なくなって。
あたしからしてみても、電話は出ないしメールの返信もない。
すごく疑問に思ったから勇気を出して聞いてみたの。
そしたら飽きた、ってただ一言。
その人は、数日後に新しい彼女と楽しそうに笑ってた。
凄く大好きだった。
あの子より好きな自信だってあったのに。






「テツくん、あたしどこがいけなかったのかなあ?」

名前さんに悪いところなんてありませんよ

「…でも、飽きたって、言われちゃったよ」






テツくんは悲しそうに目を細めた。
ああ、困らせちゃったね。






「ごめんね、テツくん」

いえ、でも
 我慢しないでください






この言葉がほしかったのかもしれない。
振られてしまってからなにかを抑えるように我慢してきた。
あの人に悲しんでる自分を見せたくなくて。
変なプライドで、わざと涙を枯らしてきたの。






「テツ、くんっ…ありが…と、ねっ…」

名前さんの為ならなんでもします
 だから、僕に頼ってください






机の向かいに座るテツくんは、頬杖をついて
それはとても優しく笑いながら頭を撫でてくれた。
そのせいで余計に涙が出てきて。
撫でてくれるだけじゃ足りなくて。
テツくんぎゅってして。
そうしたらテツくんは、ゆっくり椅子から立ち上がって。
ゆっくり、あたしを抱きしめてくれた。
体温から伝わるテツくんの優しさが温かすぎて。
大粒の涙がテツくんの肩を濡らしてた。











君を傷つけるのも泣かせるのも他の誰かで

これからは僕が

あなたを笑わせていよう



[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ