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□神様に祈るくらいなら、
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「鉄平が試合中に膝を怪我して運ばれたの、早くきて!」










「はあっ、はあっ、」










だから言ったのに。
膝に違和感を抱えたまま試合に出るなんて
絶対にやめたほうがいいって。










「もし怪我でもしたらどうするの!?」

大丈夫だ。
 この膝がブッ壊れても試合には出る

「…大丈夫じゃ、ないっ!
 鉄平だけの体じゃっ、ないんだから、」

名前泣くな。
 俺が泣かせてるみたいじゃないか

「アンタの、せいっ、だ!」

…大丈夫、無傷で帰って来るよ。
 なんたって俺には愛しの名前ちゃんがいるからな

「うっ、やっぱり、遺体で帰ってこい!」

え!?











本当は違和感どころじゃないほど痛いくせに。
本当はシュート打つたび顔しかめてるくせに。
なんでそんなに無理するの。










「はあっ、はあっ、」










鉄平、いまいくよ。










「はあっ、リコ!」






「名前!こっち!」










病室に行くと、誠凛のみんなが鉄平を囲んでいた。
鉄平の膝は、包帯でぐるぐる巻きにされていて
とても、とても痛々しかった。
そんな鉄平を見つめるあたしの顔は
きっと、涙でぐちゃぐちゃだ。










おー名前!
 来てくれたのか!






「おーじゃないわよ!
 あたしがどれだけ心配して
 走ってきてやったと思ってんの!?」






ごめんな。
 でも、対した怪我じゃなかったんだ。
 ただの捻挫だった






「ただのって、

名前、ただの捻挫だったんだよ










後ろで、リコが誠凛のみんなに
帰るわよって指示を出してる。
リコもみんなも、嘘だって分かってる。
それだけ分かり易い嘘なんだよ、鉄平。






みんなありがとなー!






「早く治せよー、木吉!」

「名前ちゃんに迷惑かけんなよー」






おう、多分な!










鉄平のまわりにはこんなに良い人たちが
たーくさんいて、幸せ者だよ。



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