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□特別
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「ねえ、黄瀬くんやばくない?」

「本職たちとやっても飛び抜けてるって…
 バスケ部でも1年でエースでしょ?」

「容姿も運動神経もいいって
 世界中の男敵に回してるよね」

「てかもう弁当食べたんだ
 今年の1年はほんと元気だなー」

「ったく、ほんとあんたの年下イケメン幼なじみくんはどうなってんのよ」







「…え?
 あ、ごめん聞いてなかった」






「えーひどいーさいてー」

「絶対見てたからだよ、年下イケメン幼なじみくん」

「あー、なるほどねー」







「ちょ、違うから!」










早々と昼食を済ませたのか、
グラウンドでサッカーをしてる1年。
サッカー部とやっても、ひとり飛び抜けているのは
あたしの年下の幼なじみでもあり、
今人気急上昇中のイケメンモデルでもあり、
海常高校男子バスケットボール部のエースでもある。

「お隣の涼太くん、モデルになったらしいわよ」

「…は?」


知らないうちにモデルとかやり始めて
それが今人気急上昇中、とか言われてる。
頭はまあ別として、背も高くて顔も問題なし。
むしろプラスでしかないムカつくやつ。
足りないところなんかなくて、人生バラ色じゃないの。










名前っち、タオル!









2年の教室の出入り口に汗だくの涼太がいた。
あれ、いつの間に?
グラウンドを見ると、誰ひとり残っていなかった。
2年の教室に、女子の小さい悲鳴が起きた。










「ほら、噂をすれば!」






「ほんとそんなんじゃないから!」










鞄からタオルを取り出して、涼太のところに行く。
タオルを毎日持ってくるあたしも、どうかしてる。










「なんで持ってこないの。
 てかあるでしょ、タオル」






あれは部活で使うんスよ!






「だったらもう一枚持って、

じゃ、借りるっス!






「あ、涼太!」






明日洗って返すっス!










もう決め台詞だよ、それ。

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