薄桜鬼夢小説

□第5章
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千鶴:(山南さんの腕…。何とかならないのかな…。私みたいに…。そうだ!!あの時言ってた薬!えっと石田散薬だっけかな?この屯所にあるのかな…?)カサカサッ

山南:誰ですか?そこに居るのは…。

千鶴:(山南さん?ここはどこ?)

山南:まさか君に見つかるとは…。予想もしていませんでしたよ。雪村君…。お入りなさい。

千鶴:はい。

山南:これがなんだかわかりますか?

千鶴:なんですかそれは?(まるで血みたい…。)

山南:これは君の父親である綱道さんが幕府の密旨を受けて作った薬です。元々、西洋から渡来したものだそうですよ。人間に劇的な変化をもたらす、秘薬として。

千鶴:劇的な変化、ですか?(あの夜の!?)

山南:どうやらおわかりのようですね。薬を与えられた彼らは理性を失い、化け物となり下がりました。


千鶴:そんな薬を、どうして父様が?

山南:綱道さんは「新選組」という実験場で、この薬を改良したのです。

千鶴:そ、そんな…。父様が人を狂わせるような実験を…。

山南:しかし残念ながら彼は行方不明となり、研究は断念されました。あの方が残した資料を基にして、私なりに手を加えたものがこれです。原液を可能な限り薄めました。


千鶴:それなら狂ったりしないんですか?

山南:まだ分かりません。服用すれば私の腕も治るかもしれません。薬の調合が成功していれば…。

千鶴:かも、って…。危険すぎます!そんなものに頼らなくても…。

山南:私だって!私だって頼りたくはないのです…。ですが、こんなものに頼らないと私の腕はもう…。(薬を一気に呑む。)

千鶴:さ、山南さん!!

山南:(千鶴を突き飛ばし、首元を物凄い力でつかむ。)

楓:…山南敬助…。千鶴を離せ…。(睨みつけながら。)


山南:…失敗のようですね…。私は賭けに弱かったようです…。さぁ早く、今のうちに私を殺して下さい。

千鶴:そ、そんなこと!!できるわけないじゃ…

楓:(一歩前に出て)分かった。健やかに眠れ。


千鶴:!!楓ちゃん!?駄目!(楓を抑える)
   誰か!誰か居ませんか!!

一:(楓の首を叩き)少し大人しくしていてくれ。(楓をその場に寝かせ。)

千鶴:斎藤さん!?土方さんに沖田さん…永倉さんに原田さんも!!みなさんどうして…。

土方:それはだな…。

沖田:これも全部楓ちゃんのおかげなんだよ。

山南:ぐああああああああああああああああ。

沖田:山南さん…。どうしてこんなものに手を…。

一:副長。

土方:新八は前川邸の門前。原田は八木邸で隊士の動きを見張ってくれ。斎藤は中庭で待機。伊東一派の警戒とけんせいを頼む。

一・新八・左之助:あぁ。(御意)

土方:総司、おめぇには…。

沖田:分かってます。いざというときは僕が楽にしてあげますよ。

土方:あぁ。どうせ今夜が峠だろうな。
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