少女漫画みたいなお話。

□お手手繋いでっ゛
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和「あ〜っ゛美味しかった!雄にぃのお母さん料理上手いよねぇ〜っ゛♬」
雄「そぉかぁ?和也んちの母さんの作る飯のが美味いけどな、」

俺の家で朝食を食べた和也はスキップしながら俺の前を歩く。

(やっぱり髪がキラキラしてる)

和「久しぶりだねぇ〜っ゛こうやって一緒に学校に行くのっ゛♬」
雄「そうだな。3年生は殆ど学校に行かないからな、コレが一緒に登校するの最後になるかもな、」
和「えーっ!ウソっ゛今日が最後なのっ゛?雄にぃと学校行けるの??」

(出たっ゛出たっ゛和也のショックそうな顔っ゛)

俺は昔から、和也のこの傷ついた顔を見るのが好きでー
たまにワザと意地悪なコトを言ってみたりする。

和「ねぇ〜…本当に最後なのぉ?」

マフラーグルグル巻にした和也が長めの前髪の間から大きな目を少し潤ませて聞いてくる。

雄「ハッキリはわからないよ。…ただ、もう卒業式まで滅多に学校に来ないのも本当だからさ、」
和「ゔ〜っ゛」

こうして俯いて唸るのも昔からのクセ。
和也は鞄を両手で前に持ち、石コロを蹴り上げるように足を交互に出してしばらく無言で歩いた。

雄「そんなに落ち込むなよ。しょうがないじゃん、学年が違うんだから、」
和「高校なんか、無きゃイイのに…っ゛」

和也は真冬の空の下
学校に向かうまでのサイクリングロードを白い息を吐きながら呟いた。

雄「学校、嫌いなのか?」
和「そうじゃないけど…学校は楽しいよ、友達も居るし、…けど、雄にぃとは別々の学校になっちゃったから…俺も雄にぃと同じ高校に行きたかったなぁ〜っ゛」
雄「くれば良かったじゃん、…つか、高校ほぼ隣だしっ゛w」

俺の通う公立高校と、和也の通う私立高校は通りを挟んで斜向かいに隣接する学校だ。

因みに、制服も俺は学ラン。
和也は紺ブレにグレーにチェック柄のズボンに赤いネクタイ。
どうやらネクタイは学年カラーがあるらしかった。

和「ソレ、嫌味?行けるワケ無いじゃん!偏差値全然違うんだからっ゛」

そう言って上目遣いに俺を睨みつけぷぅ顔をする和也を見てると昔と変わらず可愛いと思った。

と、ソコにー

和「あっ!木村先輩っ゛♬」

和也と同じ高校の生徒らしい奴が前を歩いて居るのを和也が見つけ駆け寄った。

「よう、おはよ、」
和「おはようございます!先輩早いですねっ゛♬…あ、こちら木村先輩っ゛サークルの先輩なんだ、先輩、こいつ中丸雄一って言って俺の幼馴染みっ゛」
「ああ、どうも、」
雄「はじめまして。中丸と言います。いつも和也がお世話になって、」

(さては、コイツが今和也が好きな相手か。…相変わらず面食いだなぁ〜…)

俺は軽く頭を下げる木村という先輩の顔をチラリと眼鏡越しに見て思った。

和也は惚れっぽい奴でー
中学まではそんなに気にもならなかったのだが、高校に入学すると同時に片っ端から好みのイケメンを見つければアタックしてるらしく、チョコチョコ付き合う相手を変えては毎回フラれて俺に泣きついて来る。というのが常になってた。

(この男とはいつまで続くかな?…てか、付き合ってんのか?
ソレともまだコレから告るのか?)

和「雄にぃ、俺達先に行くね!帰りカラオケ行かない?木村先輩が奢ってくれるってっ゛♬」
雄「悪いけど、俺今日予備校あるから、お前楽しんで来いよ、」

俺が答えると、木村先輩という奴が和也に向かって「〇〇高校の奴が俺らとカラオケなんて行くわけねぇ〜だろっ゛w」と、ヒソヒソ話して苦笑いしてるのが見えた。

和「また予備校?…じゃあ、何時に帰って来るぅ?」

そんな苦笑いしてる先輩を差し置いて俺の帰宅時間を聞いてくる和也に無愛想に答える俺。

雄「わかんないよ、予備校の後も図書館行くかもしれないし、」

(俺、なんでこんなにイラついてんだろう…?)

俺はいつも思う。
和也が自分以外の誰かと親しげな様子を見ると心の奥がササクレだってー
何だか冷たい態度を取ってしまう。

(コレって、なんなんだ?)

和「わかった…じゃあね、」

俺がつれない態度をとるうちに今度は和也がムスっとして踵を返して先輩と歩き出す。

コレも最近ではハンを押したように同じパターンだ。

俺はそんな和也の態度も解せなかったし、自分の気持ちのモヤモヤにも答えが出せずにいてー


ただ、ぼんやりと通りの反対側に先輩と肩を並べて歩く和也の後ろ姿を目で追うだけだった。
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