仁亀百色玉手箱〃

□今の気持ち小説っ〃
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部屋に入りベッドへ身体を投げ出す。



ホテルの糊の効いたシーツに窪みを作って天井を見上げる。




k「赤ちゃんかぁ・・・」



呟いたあと、目尻に向かって一筋の涙が流れたー



自分でも気付かないうちに、何時の間に涙が溢れたのかわからないくらい突然にー




k「-ッ」




俺は両腕をクロスする様にして涙を抑えた。




泣いちゃダメだ、いま、泣いたら全部崩れる-



今は、素の和也に戻っちゃダメ。



まだ、KAT-TUNの亀梨和也で居なきゃ-





俺は、勢いよくベッドから起きて浴室へと向かった。



シャワーを全開に出して身体にあてる。



髪を濡らしてかきあげて


今の自分の気持ちを全部洗い流すように



熱いシャワーを浴びた。





髪を拭きながら部屋に戻ると、携帯がメール受信の点滅をしていて



見ると聖からのメールだった。




聖「 かめ、 もう寝た?」


短い文章。


k「まだ、起きてるよ」


俺も短く返信。


聖「そっち、行ってもい?」



聖からのメールに返信する前に部屋のドアをノックする音がした。



開けると、そこには聖が片手を壁についてwinkしながら



聖「よッ!」


とか言って眉にあててたピースした指を前に翳した。


k「なに、やってンの笑」


俺は、ふっ、と笑って聖を部屋に入れた。


聖「これ、飲もうかと思って」



聖がどこに持っていたのか、ワインとグラスを2つ 俺に見せながら言った。



k「え?俺、いま呑む気無いよ、」



俺は、本心からそう言ったんだけど、聖は首を振りながら



聖「NON、NON、 そういうなって、何も呑み明かすつもりじゃないからさ」



そう言って勝手に一人掛けのソファーに腰掛け、ワインにコルク抜きを挿してキュッキュっと栓を抜いた。



俺は、バスローブのままベッドにちょこんと座り、聖が差し出したワイングラスを受け取った。




聖「乾杯!」

k「なンに乾杯?」

聖「なンでもいいじゃん、とにかく乾杯!」


聖はそう言って俺の持っているグラスに腕を伸ばして自分のグラスを合わせ



cin! っと、鳴らした。



俺は、一口ワインを飲んだ。



少し苦味のあるそれでいて芳醇な香りの深い味が口の中いっぱいに広がった。



聖「 かめ、 無理ぃ しなくてぃぃぞ」


少しして聖が言った。



俺はその言葉に少し時間を置いて答えた。


k「だめだよ、今は「無理しろ!」って言わなきゃ」


俺はそう言って笑った。



そう、いまは無理するなって言われたくない-



言われたら 甘えてしまう。



聖「 ・・・そっか。」


聖は頭を掻きながら苦笑いをして言った。



聖はしばらく魂の話をして部屋を出て行った。



帰り際、



聖「明日のパート、出だし間違えンなよ?」



k「あぶねーのは聖だろ? 笑じゃぁな」



そう笑い合って「おやすみ」って、別れた。



実は俺が聖と飲んでる間にも、中丸や上田、田口、生瀬さんまでがメールや電話をくれていた。



k「こんなにメール、電話してたら寝れねーつーの、」


俺は携帯の着歴を見ながら苦笑した。



みんなの気持ちが嬉しかった。


きっとファンの子達も同じ思いでいてくれてると思った。


俺やKAT-TUNのメンバーを心配してくれてる。


そう思ったら、俺には迷いは無かった。



k「KAT-TUN『魂』絶対、成功させる!」



何が起ころうと、俺は変わらない-




   KAT-TUNの亀梨和也




そう、心に刻みながら窓から外の景色を見ていた。




今の気持ち小説。-fin-




◆あとがき◆

本当に自然と思い付いたお話でした。

今読むと痛いですね・・・。



でも、このお話以来仁亀=妊娠・出産が大きなキーワードになったのも事実でした。


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