10Ks!
□◆ A secret ◆
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エリカ様とはソレから何度か連絡を取り合った。
雄「本当に大丈夫ですか?」
「何が?」
雄「2人で泊まるコトですよ。…やっぱり辞めませんか?どう考えてもマズいでしょう?」
「別にバレなきゃ大丈夫でしょう、中丸くん心配し過ぎっ゛」
雄「そう…かなぁ〜…マズいと思うけど…」
「中丸くん!私と出掛けるのがそんなにヤなのっ?」
雄「いや…っ゛嫌というワケではぁ〜…」
エリカ様が煮え切らない俺についにキレて来たので、俺は慌ててフォローした。
「とにかく!そんなに心配なら一緒にチェックインしなきゃイイじゃん、別々に入りましょう」
雄「はぁ…」
こうして、エリカ様の提案により、当日の現地集合で部屋で落ち合うコトにした。
雄「本当に大丈夫なのかなぁ〜…」
俺は部屋から電話してたんだけど、電話を切った後からも不安が付きまとって…ゴロンと寝転がったベッドの上で何度も寝返りを打った。
マスコミに有らぬ噂を立てられるのが嫌だとエリカ様には言ったけど、俺が真っ先に思い浮かんだのは亀の顔だった。
(亀が知ったら絶対ショックだよな…普通にヤキモチ妬くだろうし何より悲しむ。タダでさえ逢えてない時だもんな…)
雄「ヨシ!やっぱり、無しにしよう!コレは危険極まりない行為だ!」
俺は今更だが考えに考えた挙句そう決めて改めてエリカ様に電話しようとガバリ!と起き上がりiPhoneを手にした時だった!
《rururu…》
(ヒッ!か、…亀からだっ!)
手にしたiPhoneが鳴り、見ると『和也』の名前が出ていて、俺は咄嗟のコトにアタフタした!
(まさかエリカ様との『椿〇荘』行きがバレたワケじゃないよな?!違うよなっ!?)
俺は自分のドキドキ音が半端なくて最早動悸がする勢いでかなり鳴らしてから電話に出た。
雄「もっ…もしもし?」
亀「もしもしぃ?中丸ぅ?電話出んの遅いじゃん!風呂でも入ってた?」
ビビりながら電話に出た俺に対して、亀はいつもの亀で俺は内心かなりホッとした。
雄「ああ…っ゛悪い、悪い、…ちょっとiPhone充電中だった、」
俺は額に滲んだ汗を手で拭き取りながら亀にウソを吐いた。
亀はかなり騒がしい場所から電話している様で、電話口から辺りのノリの良い音楽と大勢の人の声が聞こえた。
雄「なんか、随分賑やかなトコに居るみたいだな?」
亀「そうなんだよ!今ね、ぴぃの行きつけのクラブ来てんのっ!俺、普段クラブとか行かないからメチャメチャテンション上がっちゃってさっ゛♬」
雄「ああ、なるほどね。山下くんが行くクラブならレベルも高いんだろうな、」
俺はベッドの上で胡座をかいてはしゃぐ亀の声を聞きながら答えた。
亀「うん!マジレベル高いっ!女の子も可愛いし男女共にオシャレっ゛♬」
雄「そっかぁ〜…イイ刺激になったな、」
そう答える自分の姿がベッド脇の姿見に映し出されて上下スエットの自分が何だか恥ずかしくなった。
「亀っ!」
亀「あ!ごめんっ゛ぴぃに呼ばれた!また電話するねっ゛じゃあ!」
電話はプツリと切れて俺はしばらくiPhoneを見詰めてそのままでいた。
(亀…楽しそうだな…)
最近の亀はドラマの撮影以外にも主題歌も山下くんと歌っているコトからCDの発売も決まり、その為のプロモーション活動も活発になって、ほぼ、ほぼ、山下くんと行動を共にしていた。
雄「クラブか…俺には縁の無い場所だなぁ〜…」
別に亀が仕事終わりにも山下くんと過ごしているのは悪くない。
むしろ、2人が仲良くなるコトは良いコトだと俺は思っている。
昔は色々あったから…
2人が親しくなるのは良いコトだ。
雄「…って、思っている。…はずなんだけどなぁ〜…」
(なんだろう。このモヤモヤは…)
俺は暗く重い気分を変えようと、キッチンへと向かいレモンティーを入れた。
雄「自分用のレモンティーでもレモンを飾り切りしちゃう俺って…」
知らないうちに落ち込む自分への元気づけに、ギザ切りにしたレモンを捻って作ってるコトに苦笑いした。
雄「あ、、、エリカ様に電話しそびれた、」
俺は出鼻をくじかれた感じで
結局、その日はそのままエリカ様に電話するコトは無くー、
日にちはあっという間に過ぎていき『椿〇荘』に行く当日になってしまった。