10Ks!
□優しいキスで起こしてっ゛❤
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そうこうしてるうちに自分の収録時間になった。
「亀梨、ココに居たのか!探したぞ!」
マネが慌てた様子で雄一の楽屋に飛び込んできて俺は重い腰を上げて雄一の楽屋を出た。
「亀梨さんおはようございます。今日もよろしくお願いします」
そう話し掛けて来たのはドラマで共演している木村文乃ちゃん
「私、バラエティーの審査員なんて初めてなんでなんか緊張します!」
亀「そんなに身構え無くても大丈夫だよ(笑)楽しもうってくらいの気持ちで全然平気だから、」
バラエティー慣れしていない女優さんだからの緊張なのか、文乃ちゃんは両手を前で合わせ肩に力が入った様子で歩いていたから緊張がほぐれるよう世間話をしながらスタジオまでの廊下を歩いた。
すると、前から雄一が歩いて来るのが見えた。
「でね、中丸くんこの間…」
(チッ!今度は知念と一緒か)
俺は雄一をまるで女の子のように見上げながらしきりに話し掛けている知念を見て思わず舌打ちした。
雄「お、亀コレからだなっ゛頑張れよっ゛」
亀「頑張れって別に審査員するだけだし…」
俺と目が合い話し掛けてくれた雄一にちょっと機嫌悪く答えた。
雄「まぁー、ソレはそうだけど…あ、木村さん亀をよろしくお願いします。」
「コチラこそ(笑)私こういう番組よくわからないから亀梨さんを頼りにしてます(笑)」
文乃ちゃんが笑顔で雄一に答え俺が「心配しなくても大丈夫だよ」と、話し掛けた時だった。
通りすがりに雄一が俺に身体を寄せて来て耳元で囁いた。
雄「今夜行くから」
亀「えっ?」
俺は突然のコトに聞き返したけど、既に雄一は知念と楽屋の方に歩いて行っていて囁かれた後振り返った俺をスッと流し目で見る雄一の横顔だけが微妙に確認出来た。
(今、「今夜行くから」って言ったよね?確かに「今夜行くから」って言ったよね??)
俺のさっきまでの燻った気持ちはどこへやら
雄一のたった一言の囁きに一気に心の中が晴れ渡った!
「亀梨さん、なんか嬉しそうですねっ゛(笑)」
亀「えっ?そぉ?❤俺、バラエティー好きだからかなっ゛❤」
スタジオに入りスタッフの誘導で審査員席に着いた俺は自然と笑みが零れ、隣に座った文乃ちゃんに「笑顔が眩しいです!」と、さえ言われたっ゛
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番組収録後、雄一にもう1度会いたくて局内をウロウロしたけど結局会えずに仕方なくマネが運転する移動車に乗り込んだ。
亀「ねぇ、雄一今日何時に仕事おわる?」
俺はマネに雄一の仕事終わりを確認しようと最後部座席から身を乗り出し真ん中のシートを抱え込みながら聞いた。
「中丸?今夜は25時は回るだろうな、収録長引いてるみたいだし…」
亀「えっ?そうなの?…今夜来るって言ったのにな…深夜に来る気かな…?」
「ソレは無いだろう。中丸、明日も朝からドラマ撮影だし、何かの聞き間違えじゃ無いのか?」
亀「え〜っ?聞き間違え?そんなコト無いよっ!雄一絶対言ったもん!『今夜行くから』って、」
俺の話を否定するマネに半ばムカつきながら唇を尖らせ不満を言う俺にマネが追い打ちをかけるように言った。
「そうかぁ?…聞き間違えだと思うけど…ソレより、今日の中丸良かったぞ!スタジオの盛り上がりもあったし、何よりあの沢尻エリカにお気に入りのお墨付きを貰ったからなっ゛♬」
亀「お気に入り?エリカ様の?」
「そう。何でも中丸自体が『ツボ』なんだってさ(笑)中丸くん面白かったって凄いプッシュしてくれてたよ。審査の結果も中丸に入れてたしなっ゛アレは本当にお気に入りなのかもな『見てて最高!』って言ってたしスタジオもザワついてたよっ゛」
亀「へぇ〜…で?その時の雄一は?どんな感じだったの?」
「う〜ん、ちょっと戸惑い気味だったかな?なんせ、あの沢尻エリカからのアプローチだからな(笑)けど、東野さんに『上から見られてるけど嫌じゃないよね?』って聞かれたら『嫌じゃないです。キュンキュンします』って言ってたしな、中丸も嬉しかったんじゃないかな、…あ、」
ソコまで話して聞いていた俺の様子がおかしいコトにやっと気付いたマネは「しまった!」というような顔をバックミラー越しに見せた。
亀「ふ〜ん…エリカ様のお気に入りかぁ〜事務所側も相手がエリカ様なら万々歳なんだろうね、」
「えっ?えっ?なんの話だよ?そんな風に取るなよ。ただ単に中丸も大物女優に認められたな、って話だよ、喜ばしいコトだろ?」
亀「喜ばしいねぇ〜…雄一も嬉しいのかもね、」
「おいおい、変な風に取るなってっ゛別に色恋沙汰じゃ無いんだからさぁー、」
亀「どうだか。…案外熱愛に発展するかもよ?」
「おいおい〜っ゛勘弁しろよぉ〜っ゛亀梨ぃ、」
言えば言うほどテンションが下がっていく俺を見てマネは大慌て
亀「信号赤!前見ろよ、危ない」
俺にそう言われるほど動揺していた。
(「今夜行くから」って聞こえたのになぁ…俺の聞き間違えなのかなぁ〜…)
俺は後部座席のシートに深々と座り込みコートのポケットから取り出したiPhoneを見詰めながら自分の勘違いかもと、落ち込んだ。