10Ks!

□優しいキスで起こしてっ゛❤
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〇テレ特番収録日当日ー、


亀「ラッキーっ゛❤雄一の楽屋の隣りだっ゛❤」

局の廊下を歩き楽屋に貼ってある名前を見て思わずテンションの上がった俺は自分の楽屋に鞄を置いて早々、『中丸雄一様』と書いてある隣の楽屋をノックしようとしたら、何やらドアの向こうから笑い声が聞こえて来た。

亀(誰か来てるのかな?)
《コンコン》
雄「はーい、」

程なくして雄一の明るい返事が聞こえて来て俺はそっとドアを開けた。

雄「おーっ゛亀っ゛久しぶり!」
亀「久しぶり…片瀬さんこんにちは」

雄一の楽屋に居たのは片瀬さんで俺の顔を見るとニコリと笑って会釈してくれた。

「こんにちは(笑)じゃ、私そろそ行くね!最後にコレお土産」

片瀬さんはそう言って白い紙袋から何やら雄一に箱を渡した。

雄「お土産?なんの?」
「福岡旅行のお土産よ。美味しいいちごジャム❤」
雄「いちごジャム?…だって苺なら片瀬さんから頂きましたよ?航空便で送られてきて…」
亀「ああ、この間話してた甘くて美味しい苺の話?」

俺は雄一が電話で片瀬さんから苺が届いたと話していたのを思い出して話に加わった。

「アレはアレ。コレはコレっ゛(笑)だって、中丸くん苺好きでしょ?食べさせてあげたかったんだからっ゛本当に美味しいいちごジャムなんだよっ゛水を一切使って無いんだって、開けて見て」
雄「へぇ〜っ゛うわっ!丸ごとだ!」

中丸が驚くのも当然
片瀬さんがくれたいちごジャムはシンプルな瓶詰めで中に苺が丸々一つずつ入ってるのが見えた。

亀「凄いねっ゛普段見るいちごジャムと全然違う!赤くない!」
雄「ホントだ!透明なシロップ?に苺が浸かってるっ゛」
「そのシロップみたいのは苺から出たモノなんだって。ロケではトーストに付けて食べたけど、家でヨーグルトに入れて食べても美味しかったわよっ゛♬中丸くんも食べてみて♬」
雄「わぁー!ありがとうございます!早速、帰ったら食べますよっ゛♬」

雄一は瓶詰めのいちごジャムを持ったまま立ち上がりバイバイと手を振り去っていく片瀬さんに丁寧に頭を下げていた。

亀「凄いね、ちゃんとお土産まで買ってきてくれて、」
雄「だなっ゛俺がドラマの都合で行けないのを悔やんでたから気を遣ってくれたんだろうな。有難いな、」

雄一がしみじみといちごジャムを見詰めながら話しているとまた《コンコン》と、ドアをノックする音がした。

雄「はい、」
「失礼します」

そう言って入って来たのは沢尻エリカさんだった。

雄「エリカ様だっ!」
「エリカ様はやめてよっ゛w今日はよろしくねっ゛私、審査員だから(笑)」

エリカ様はニッコリと笑って雄一に言った。

雄「アレ?そう…でしたっけ?」
「なんだ、出演者見てないの?」
雄「いやいやいやいや、見てる見てる、見てた!よろしくお願いしますっ゛」
「ウソ!見てなかったでしょ!もうイイ点付けてあげないっ゛」
雄「いやいやいや、ウソウソ!ごめんなさいっ゛本当は見てませんでしたっ゛w」

雄一が出演者の中に自分の名前があるのを知らなかったコトに腹を立てたエリカ様に平謝りに謝り、その姿を楽しそうに見ているエリカ様が本気で怒っている訳では無いのがスグにわかって俺は1人複雑な愛想笑いを浮かべていた。

「じゃ!そういうワケでよろしくねっ゛♬」

エリカ様は言いたいコトだけ言うと颯爽と楽屋を出て行った。

雄「何がよろしくなんだろうな…?相変わらず押しの強い人だよなっ゛w」

俺は雄一の言葉に何も言わず、片手で首の後ろを撫でる雄一を見ていた。

雄「ん?どした?」
亀「別に…結構〜色んな人が来るんだね、中丸も顔広くなったじゃん、」

俺は何となく気落ちしていて…
でも、ソレを雄一に気付かれないように至って明るく話した。

雄「亀ほどじゃないけどなっ゛…あ、そろそろ行かなきゃ、せっかく久しぶりに会えたのにゆっくり話せなかったな、」
亀「イイよ。しょうがないよ。雄一の方が収録先だったね、頑張って」

俺は鏡を背に用意された衣装のジャケットを羽織る雄一を眺めて手を振り見送った。

雄「じゃあ、行ってくる。またな!」
亀「うん、」

バタンと楽屋のドアが締まりガヤガヤと廊下を歩く人の気配を感じつつ、俺は1人溜息を吐いた。

亀「あ〜あ…全然雄一と一緒に居れなかったな…↓」

俺は後に残されたハンガーに掛かった雄一の私服に顔を埋めてせめてもの寂しさを紛らわそうとその匂いを吸ってキュっと抱き締めた。
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