10Ks!

□ぴぃの憂鬱
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ソレから数週間後ー、

〇テレの会議室に新土曜ドラマのキャスト、スタッフが集まった。

監督の挨拶に始まり、主演の亀から順に挨拶が回って来た。


「主演の正木誠役の亀梨和也さんです」
亀「正木誠役の亀梨和也です。どうぞ皆さんよろしくお願いします。今回、『運命』という言葉をテーマに、色々な出来事に翻弄されながらも、ひたむきに真っ直ぐ突き進んでいく男。29歳の会社員、正木誠を演じさせて頂くコトになりました。」

亀の挨拶は品行方正そのもの。
ペコリと頭を下げた後、今回の役どころについてまでも話し始めた。

(相変わらず真面目だな)

亀「平凡な毎日を送る主人公として、突然現れた『謎の男』に振り回されながら、運命の相手?に、諦めず、ひたむきに突き進んで行きたいです!」

(おい、おい、ひたむきと突き進む2回言っちゃってるよっ゛w)

俺がほくそ笑んでいる間も亀の挨拶は終わらない。

亀「木村さんとは今回初めて共演させて頂くのですが、お芝居はもちろんですが、人として持っている魅力が素晴らしい女優さんなので、チームとして作品に向き合えるコトをとても楽しみにしています!30代となった今、それぞれの経験してきたコトを役を通して作品に注ぎ込んでいければと思います。」

(ご立派!共演者の木村文乃さんへの気配りも忘れず作品への意気込みまで挨拶に入れた!)

智「流石だね…」

俺は独り言を呟き木村文乃さんに続き挨拶した。

智「山下智久です。…役は、神様です(笑)」

俺の挨拶に笑いが起きた。

智「つかみどころのない、ふわっとしていて、ソレでいて言うコトには信憑性がある役です。
そして愛に溢れていると思います。偶然と必然の真ん中を漂う不思議な存在になれるよう頑張りたいと思います。」

俺の挨拶は極力短めに。
頭を下げて周りからも拍手を貰った。


一通りの挨拶を終えて顔合わせは終了。

すると、亀がタタタ…と、走り寄って来た。

亀「久しぶり!共演、よろしくっ゛」
智「久しぶり。よろしくな。12年ぶりの共演だもんなっ゛亀は29歳の役か、」
亀「役は29歳だけど、俺、もう時期31だよっ゛」
智「31?同い年だっけ?変わンねぇ〜なぁーっ゛相変わらず可愛いつーか、」

俺はアイドルオーラ全開のキラキラした目で話しかける亀を見て若干、驚きながら話した。

智「いや、変わったかな?…なんか、綺麗になった、」
亀「えーっ゛ヤダなぁーっ゛ぴぃからそんなコト言われるとは思わなかったっ゛w何のお世辞?w」

俺は見たままを言ったつもりだったんだけど、亀はやたらとはしゃいでバシ!っと、俺の肩を叩いた。

智「痛い!痛い!亀、力あるんだから手加減してくれよっ゛」
亀「ああ!ごめん!ごめん!嬉しくてつい…っ゛」

(嬉しくて?「綺麗になった」って言われたのが?)

「亀梨、」
亀「あ、一条さん。お久しぶりです。」

チーフマネがやって来て亀に声を掛けた。

「どうだ?体調の方は?大丈夫か?」
亀「おかげさまで大丈夫です。元気にしてます。」

亀は頭を下げ挨拶すると、丁寧な口調で話し始めた。

(亀の体調気にしてんだ…そういえば、この人一時期KAT-TUN担当だったな…)

俺は心の中で思い、亀よりゆうに頭一つ背の高いチーフマネの背中を見詰めていた。
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