10Ks!

□◆今宵貴方と◆(雪の日編)
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《ピンポーン!ピンポーン!》
《ピンポーン!ピンポーン!》


雄「う〜ん…誰だよ…」

昨夜遅くまでイラスト描きに専念した俺は、目覚ましも掛けずに爆睡していて、けたたましいピンポンの音で目を覚ました。

雄「はい、」

まだ目覚め切らない頭でフラフラと起きてインターフォンに出たけど応答は無いし、カメラにも誰も写ってない。

(なんだ?イタズラか?)

俺が一旦インターフォンから離れるとまたピンポンの嵐

雄「はい!…うわっ!?」
亀「ヤッター!当たりっ!❤」

玄関ドアを開けた途端!
何かがヒュン!と飛んで来て俺のスエットの胸に当たった!

雄「うわっ!なんだよ?亀??」

当てられたのは雪玉で、当たって砕けた雪が俺の足元にパラパラと落ちた。

亀「えへへー❤中丸おはよう❤今日雪だよ❤」

冷たい雪を払う俺の前に眩しいくらいの笑顔を見せる亀が立っていた。

雄「雪って…いきなりコレ?」
亀「家で雪だるま作ってたら中丸に逢いたくなっちゃって…❤ついでに雪玉も作って来たんだ❤中丸にぶつけようと思って❤」
雄「俺にぶつけようと思ってって…小学生かっ!」

俺が呆れて言うと「愛情表現だよぉ〜っ゛❤」と、答える亀。

雄「バイオレンスな愛情表現だなぁ〜おいっ゛w…まぁーイイや、上がれよ、」
亀「わぁーい❤ありがとう❤」

亀は嬉しそうにピョンピョン飛び跳ねながら中へ入った。

紺のダッフルコートに乳白色のマフラーをグルグル巻にした亀は超絶可愛くてマフラーの上でクルンクルンに跳ねてる髪からも愛くるしさを感じた。

亀「中丸、ひょっとして寝てたの?頭寝癖付いてる、」
雄「寝てたよ。今日仕事休みだし。」

俺は寝起きのココアを入れようと亀と2つ分のマグカップを食器棚から出して言った。

亀「イラストは?〆切近いんだよね?」
雄「昨夜のうちに終わらせた。…はい、ココア、」

俺はそう答えながらダイニングテーブルの上で頬杖突いて聞く亀の目の前にココアを置いた。

亀「マジで?…じゃあ、今日は完璧OFF?」
雄「そうだな。…アチ!」

淹れたてのココアの熱さに舌を火傷しそうになる俺を見てニコニコ満面の笑みを浮かべる亀が嬉しそうに言った。

亀「ヤッター!なら、今日遊べるじゃん!どっか行こうよっ゛❤」
雄「えー?…ソレは勘弁。昨夜夜遅かったんだぜ?今日は1日ゆっくりしたい、」

俺は冗談じゃないと思って熱いココアをフゥーフゥー冷ましながら飲んで答えた。

亀「なんだぁー、ノリ悪いなぁ〜っ゛…けど、仕方ないか。中丸お疲れだもんね、」
雄「そうなのだよ。俺はお疲れなのだよ、」
《ヒュン!》ぺし!

雄「わわっ!?」

話してる最中にまた、亀が雪玉を投げてきた!

雄「何すんだよぉ〜っ!キッチンまで雪まみれにする気かぁ?」
亀「だってつまんないんだもんっ゛…寝てもイイからその前に俺と遊ぼ❤」

亀は実に自分勝手なコトを言いながら手にしていたクーラーボックスから小さな雪だるまを出して来た。

亀「コレ、中丸に似てない?」
雄「亀が作ったのか?可愛いな❤よく出来てるっ゛…つか、目は黒豆?鼻は…京人参?」
亀「そう。普通の人参切らしててさ、黒豆は煮てあるから食べれるよっ゛❤」
雄「黒豆に京人参て…まるでおせち料理みたいだなっ゛」
亀「ピンポン!おせち料理❤来年のお正月は手作りでおせち料理作ろうかと思ってっ゛❤」
雄「もうー、おせち料理の準備?早くね?」

俺が言うと、亀はマフラーをクルクル取りながら話した。

亀「初めて作るから練習っ゛元旦には美味しいおせちが食べられるよっ゛❤楽しみにしてて❤」
雄「手作りおせち❤イイねぇ〜っ゛❤…あ、でも俺、元旦から仕事だわw」
亀「ネンイチでしょ?マネから聞いた。仕事終わったら来ればイイじゃんっ゛❤俺も実家帰って遊花と過ごしてるから、」

亀はそう言い、ダッフルコートも脱いでキッチンに立った。

雄「そうだな、遊花にお年玉あげなきゃなっ゛…て、何してんの?」
亀「今まで寝てたってコトは朝ごはんまだでしょ?早めのお昼ってコトで俺がなんか作るよっ゛❤」

亀はそう言って冷蔵庫を開けてあり合わせの食材でご飯を作りだした。

雄「お!嬉しいねぇ〜❤サンキュー❤流石は奥様❤」
亀「煽てなくてイイからっ゛シャワーでも浴びてくれば?そんな寝癖頭じゃ100年の恋も冷めちゃうっ゛w」

亀がそう言うので、食事作りは亀に任せて自分はシャワーを浴びに浴室へと向かった。
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