10Ks!

□1つの終わりと1つの始まり。
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いつもなら後部座席に乗る俺だけど、この時は何も考えずに助手席に座った。

雄「シートベルト締めたか?行くぞ」
亀「うん」

中丸に言われて小首をコクんと下げて返事した。

中丸はゆっくりとハンドルを切って駐車場から出ると、俺のマンションへと車を走らせた。

俺が中丸の運転する横顔が好きで、ジッと見つめていたら不意に中丸が口を開いた。

雄「亀、飯食ったか?」
亀「食べてない。時間無くて…」
雄「やっぱり。ちょっと寄り道するぞ、」
亀「え?なに?」

中丸は言ったかと思うと、マンションへの道を変えて俺もよく行く外資系のスーパーへと立ち寄った。

亀「なに?買い物?」
雄「イイから、亀は待ってて、」

中丸は話す言葉もソコソコに車を降りると、1人スーパーへ入って行った。俺は中丸を待つ間手持ち無沙汰で用も無いのにiPhoneを見たり、取り残された車の中から中丸の姿を探して首を伸ばし外を眺めたりしていた。

雄「お待たせっ゛」
亀「わっ!お前どっから来るの?てっきり入ったトコから出て来ると思ってたのにっ゛」

思いがけず車の後ろから現れた中丸に驚いて言うと「ほい」と、中丸が白いスーパーの袋を俺に渡して来た。

亀「なにコレ、…あ、タコ焼き?」

渡された袋からはふわんと青のりと鰹節にソースが絡み合ったタコ焼きのイイ香りがしてきて言った。

雄「うん。買い物してたら、店の外にタコ焼きの移動車があったからさっ゛俺が美味いモン作ってる間ソレ、食っとけよっ゛」

中丸はそう言って笑うと買い物した袋は後部座席に置いて再び運転席に座った。

亀「美味いモノって…イイよ。俺、この時間食べないし、中丸だって疲れてるだろう?わざわざ作らなくても…」
雄「まぁー、まぁー、そう言うなってっ゛作るったって簡単なモノだし。ソレに少しは食べろよ。亀のストイックさは感心するけど、時々心配だよ、」

中丸はそう言って信号待ちになると俺の膝の上に置いてあったタコ焼きを取って素早く輪ゴムを外して「はいあーんっ゛」と、爪楊枝に刺したタコ焼きを口元に近づけて来た。

雄「ほら、あーんっ゛」
亀「う〜〜っ!…パクっ゛」

俺は無理クリ口を開けさせられる形でタコ焼きをパクリと食べた。

亀「うんっ゛♥」

俺はタコ焼きの美味さに目を見開いた!

雄「どう?」
亀「美味いっ゛♥このタコ焼きっ゛♥」
雄「そりゃ良かったっ゛♥」
亀「中丸も食べてっ゛♥ホラホラっ゛♥」
雄「ちょ、待て!青信号っ!」

俺は慌てる中丸の口にお返しとばかりにタコ焼きをねじ込んで、中丸は必死に辺りをキョロキョロしながらモグモグして運転した。


俺はそんな中丸を見て上機嫌♥

マンションに着いてからは中丸に引っ付いて歩き、料理してる間も背中にピッタリとくっ付いて中丸を困らせた。

雄「危ないよ、包丁使ってンだから手ぇ切るじゃん、」
亀「う〜ん、大丈夫っ゛♥押したりしないからっ゛♥」
雄「押されたら大事だわっ゛w」

エプロンする中丸が前屈みにベーコンを切って、ウエストに両手を回していた俺は手を伸ばしてつまみ食いっ゛♥

雄「そんなに食べたら無くなるから、亀、ダイエットしてるんだろ?」
亀「えへへっ゛♥だって美味しいんだモンっ゛♥てか、何作ってんの?」
雄「スープ。簡単ヘルシー、体も温まる最強スープだぜっ゛」

そう言って中丸が作ってくれたのは、コンソメがベースのキムチとベーコンの入ったスープ。

雄「タニタのレシピにあったスープだからカロリーも低めだし、きっと亀なら好きな味だと思うよ、」
亀「へぇ〜っ゛いただきます!」

俺は白いスープボールに注がれたキムチスープにスプーンを入れて一口飲んだ。

亀「本当だ!美味しい♥」
雄「だろ?マネに聞いたら明日は亀、仕事午後からだって言うからキムチ味でも大丈夫かと思ってさっ゛俺も食べようっ゛」

中丸はエプロンを外して椅子に掛けると両手を合わせてスープを飲み、俺と今日のLIVEについて話してそのまま穏やかな時間が過ぎた。
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