10Ks!
□1つの終わりと1つの始まり。
3ページ/10ページ
亀「今日はお迎えに来て、…なんて言えないな…」
俺はiPhoneを手にして小さく呟いた。
いつもの日曜日なら、中丸が朝の『シューイチ』生放送で早起きなのを知ってても会いたければ迎えに来てってワガママも普通に言っちゃうけど…今日ばかりはムリだと思った。
テレビ局に着いたのが予定より30分遅れだったから後はバタバター、
楽屋まで駆けて行って、予め用意されていたワイシャツとスーツに着替えてネクタイをスタイリストさんに締めて貰いながら、メイクさんに髪のセットとメイクをして貰って本番10分前にスタジオ入りした。
-------------------------------
通常通り生放送は終わって、上田さんからも「お疲れ様、今日は1日良く頑張ったな!」と、労いの言葉を貰って俺はスタジオを後にし局の廊下を歩いて楽屋に戻り、着替えて駐車場に向った。
亀「アレ?マネの車はどこだ?」
いつも停めてる場所に移動車が無くて、広い駐車場をキョロキョロしてるといきなりライトが当てられた。
亀「眩し…っ!誰?」
雄「亀っ!コッチ!コッチ!」
亀「中丸っ!?」
俺にライトを当てたのは中丸で、運転席の窓から身を乗り出して眩しがる俺に片手を上げているのが見えた。
亀「ええっ!どうしたの?」
俺は驚きながらも中丸の元へ吸い寄せられるように足早に近付いた。
雄「どうしたの?って、迎えに来たんだよ。マネから聞いてない?」
亀「聞いてない!聞いてない!…えっ?、中丸大丈夫なの…?」
雄「何が?酒なら飲んでないぜ?打ち上げコーラだけだから、」
俺はそんな意味で聞いたワケじゃ無かったけど、中丸があんまりにも普通にしてるから「乗って、乗って、」という優しい言葉に戸惑いながらも素直に乗った。