10Ks!

□1つの終わりと1つの始まり。
2ページ/10ページ

移動車に乗り込んでテレビ局に向かう間も中丸の事が気になって仕方が無かった。

(中丸…着替えン時も元気無かったな…やっぱり気持ち落ちてンのかな…)

俺は濃いめのスモークの掛かった車の窓から過ぎ行く街頭の灯りを見ながら思った。
窓ガラスには疲れた自分の顔も映し出された。



「充電期間をおこう。」
そう切り出したのは俺だった。
中丸は俺の提案に最初から難色を示した。「そんなコトをしたら、今いるファンの子達も悲しむし、何よりファンが減る。」中丸の1番心配しているコトだった。

中丸だけじゃない。
上田も、充電期間を言い出した俺自身もソレは一番に考えたコトだ。充電期間を置くのはリスクが高い。

ソレでも、俺にはこのまま今まで通りやっていける自信が無かった。自信が無いというより嫌だった。

「どこかで区切りをつけたい。1回リセットしてソコから始めたい。新たなKAT-TUNを見出したい。」

コレが俺の気持ちだった。

『じゃないと、俺、KAT-TUNを嫌いになっちゃう。KAT-TUNの亀梨和也じゃいられなくなっちゃう。』

コレも俺の本音だった。

(結局、中丸と上田は俺の強い要望に応えてくれる形になったけど…中丸はやっぱりまだ納得して無いのかな…)

俺は深い溜息を吐き、窓から目を背けてシートに身を沈めた。

(俺…中丸に悪いコトしたんだよな、…悲しませるコト、したんだよな…)

そう思うとLIVEをやり切った心地いい疲労感よりも、今も心の底では泣いてるんじゃないかと思う中丸を思い浮かべて最後の挨拶後の中丸の涙を蘇らせた。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ