少女漫画みたいなお話。

□K9 -第2幕-
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雄「ココは?」
和「お前の父さんの別荘だ。」
雄「別荘?別荘があったなんて知らないぞ!」
和「まぁー、入れよ。狭いトコだけど…」


和也と2人ー、
宛のない旅をするつもりだった俺だけど、和也が

和「このままじゃ嫌だ。背中直してよ、」

と、不平不満を言うので、

雄「そうは言っても直す場所がなぁ〜…研究所みたいに機材が揃ってる場所じゃないと…」

と、悩んでいたら、

和「イイトコがあるぜっ゛♥」

そう言って和也に連れられて来たのが深い森の中にポツンと一軒建った白い家の前だった。

雄「お邪魔しまぁ〜す…」

古びたその家は、かなりの間人が入った様子が無い様でそこら中ホコリだらけでー、

とても住めるような状態じゃ無かった。

雄「ゴホっ!ゴホっ!…本当にココが父さんの別荘なのか?…ゴホっ!…ホコリだらけで何が何だかわからないけど…ゴホっ!」
和「まぁー、かなり放置してたからな。元々はお前の爺さんの持ち物らしい。お前の父さんは1人になりたい時はよくココに来てたんだ、ほら、ソコに暖炉があるだろう?その暖炉の前でロッキングチェアーに座ってホットウィスキーを飲むのが好きだったんだ、」

和也は勝手知ったる自分の家の如く、部屋の中を歩き回り部屋中のカーテンを開けて回り外の空気を入れてリビングにある暖炉を指差して話した。

雄「ふ〜ん…ゴホっ!…よく、知ってんな、…つか、なんか飲み物無い?水は出るのか?」

俺は長い時間歩き詰めで疲れた足を引き摺りキッチンへと向かった。

雄「わぁーっ!ヘビ!」

キッチンへ行き、蛇口を回そうとしたら青大将がニョロりと顔を出し驚いた!

和「なんだ。健太じゃん、」
雄「け…健太?知り合い?」

俺が身を竦めて聞くと、和也はなんてコト無い顔をして青大将を掴み、親しげに頭を撫でた。

和「コイツはこの別荘の守り神だ。『健太』って名前はお前の父さんが付けたんだ。懐かしいなぁ〜っ゛♥健太、元気にしてたかぁ〜っ゛♥」

和也はまるでペットの様に『健太』という名前の青大将を可愛がり始めた。

雄「あ、青大将もイイけど…背中の傷!直せる装置はあるのか?ココに?」
和「あるよ。ココの地下に、」

和也は首に健太を巻き、俺の前を歩いて二階に続く階段の近くまで誘導した。

和「この下にあるんだ。多分、ココよりは綺麗だぞ、」

和也はそう言うと、階段下にあったラグマットを退かした。
ソコには地下への入口らしいドアがあって、和也が暗証番号を打ち込みギギギ…と、音を立てて地下への入口が開いた。

和「はい、健太はココまで。また遊ぼうなっ゛♥雄一、中は真空になってるから酸素ボトル咥えて、」
雄「真空…?わっ!と、と、とっ゛」

和也は携帯用の酸素ボトルを俺に投げて来て、俺は落としそうになりながら受け取った。

和「うんじゃ、行くぞ、」
雄《うん》

俺は酸素ボトルを咥えてコクんと頷いた。

和也の後について階段を降りて行ったけど、真空なのは階段と短い廊下だけで、部屋の中に入ると普通に呼吸が出来た。


雄「うわー…本当にココは綺麗だ。自動浄化装置が付いてるんだな、」
和「うん。ココだけはお前の父さんにとって聖域だったんだろうな、誰も入れなかったし、この場所を知ってる人間は居ないと思う。」
雄「ふ〜ん…聖域か…」

俺は和也の話を聞きながら父さんが使っていたという装置や機材を物珍し気に見ては触った。

雄「うん。父さんらしいや(笑)ものすごくよく手入れされてる。」
和「どうだ?俺の傷、直せそうか?」
雄「うん。大丈夫だろう。型は古いけど、しっかり使えそうなモノばかりだ。早速、背中の修理に掛かろう、」

俺は和也に言って、診療台にうつ伏せに寝かせた。
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