仁亀百色玉手箱〃

□仁亀夢物語
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【仁亀夢物語@】


ふと、朝のニュース番組を見ていたらメイサが出ていた。


仁との電撃結婚発表から初めての公の場への出演。


俺は寝起きの頭でぼんやりとその様子を見ていた。

k「・・・あれ?・・・結婚指輪してない?」


TV画面の中、嫣然と微笑む彼女の左薬指には結婚指輪がなくて、そのニュースを報じる女子アナからは

「この日のメイサさんは全体にふんわりした衣装でお腹まわりはわからないものの、足元には10cmのピンヒールを履いていました」

とか言っていた。


k「みんな、よく見てンだなぁ〜・・・。てか、妊娠中に10cmピンヒールとか・・・大丈夫なのかな・・・?」




pinpo----nn-n!


俺がソファーのクッションを引き寄せて考えていたら、インターフォンが鳴った。

k「こんな朝早くに誰だよ・・・」


俺は訝しげにカメラを覗いた。 そこに映っていたのは仁だった。


k「はぁ〜? 何やってンの?」


俺は余りに驚いて大きな声で独り言を言っていた。


玄関を開けると「よッ!」と、片手を上げて軽く挨拶する仁が居て、普通に部屋に入って来る様子になンの違和感も感じない俺に、俺自身が不思議に感じた。


仁が勝手知ったる亀の家って感じで、さっきまで俺が座っていたソファーにどっかりと腰を下ろすと俺の飲みかけのミネラルウォーターを飲み始めた。


k「ちょ、なんか、当たり前の様に寛いでるけど・・・どうしたの?」


俺は事態の把握が出来ないまま着ていたシャツの前ボタンを留め直して聞いた。


j「うーん、俺、捨てられちゃった、」

k「はぁ?」

j「bye-bye だってさ、」


仁は言いながら、また一口ミネラルウォーターを飲んだ。


k「え?え? なンで?? てか、離婚したってコトぉ?!」


俺は仁の隣に急いで座り、仁に詰め寄った。


j「うーん、 借金まみれの男はヤダってさ、」

k「・・・例のペナルティーのコトぉ?・・・でも、あれは事務所が勝手に決めたコトだし、別に仁が悪い訳じゃぁ・・・」


いや、悪いけど、・・・でも、国内ツアーが出来なくなって一番ショックなのは仁なのに・・・

その仁を捨てちゃうの・・・? そんな話あるのかなぁ・・・


俺が考えあぐねていると、仁が妙に甘えて来る。


j「和也は優しいねぇ〜、やっぱり和也にしとけば良かった、」

k「なンじゃそりゃ?!今更遅いよ、」


俺は俺に擦り寄って来る仁を避けてソファーから立ち上がった。


俺が立ち上がった拍子に仁は「あら」っと、体勢を少し崩したけどそのまま目だけ俺を見て言った。


j「だよな、 今更遅いよな・・・」

k「〜〜〜〜〜んもぉー!飯、食ったのかよ!?」

j「まだ、 何? かず、作ってくれンの? ヤッター♪」


あ〜、俺ってホントぉーにダメ。



仁のああいう顔に弱い。


コレって惚れた弱みってヤツ?


俺はリビングではしゃいでいる仁を尻目にキッチンへと歩いて行った。



k「言っとくけど、大したもン出来ないよ?魂あるからそンなに食材買い込んで無いし、」


俺が冷蔵庫を開けて覗き込んでいると、何時の間にか仁もキッチンに来ていた。


j「いいよ。なンでも。和也の作るモンなら何でも美味し、」


仁は、調子の良いコトを言いながら、カウンター越しに俺が料理をする姿を見ていた。


俺は、冷蔵庫にあったあり合わせの材料で簡単にパスタを作った。


k「後は、グリーンサラダに生ハム乗せてっと、」

j「おー!美味そうじゃん!いっただきまぁ〜すッ♪」


仁は出来上がるや否や、ダイニングテーブルの椅子を引き座ると両手を合わせて食べ始めた。


その姿が子供っぽくて笑えた。


k「トコロで、・・・これからどうすンの?」


俺も仁と一緒にパスタを頬張りながら言った。


j「そのコトなンだけど、 しばらく此処に置いてくンない?」

k「はぁ〜?」

j「だって俺、行くトコねーもん、新しいマンション見つけるまででいいからさ、ねッ!お願いッ!」



仁は再び両手を合わせて俺に頼み込んで来た。


そんな仁に俺は呆れたけど、もぉーなんて言うか、そういうのは慣れっこで


k「わかったよ、」


と、素っ気なく一言だけ言った。


k「俺、これから長野だから、留守の間この鍵使ってて、」


俺は長野『魂』の為に東京を離れなきゃならなかったから、仁に鍵を渡した。


k「言っとくけど、ソレ俺の鍵だから。出掛けるならポストに入れといて、」


俺はマスターキーを仁に渡してそう言った。


j「帰ってくンの何時? 俺、居るようにするからメールか電話くれよ、」

k「わかった、 じゃぁ、行ってくンね、」

j「あ、それとさぁ〜・・・」

k「なンだよ、俺、急いでンの、」

j「 コレ、合鍵作ってもいい?」


俺の渡した鍵を嬉しそうに翳してそう聞いて来る仁。



k「ぃぃょ、 好きにしたら、」

j「わかった、好きにするッ(笑)」



俺はワザと突っぱねる様に言ったつもりだったけど、いつもの癖で口の端が上がっているのを仁に見られたらしかった。


だって俺を見送る仁は「してやったり」の顔してたもンねッ。


俺の心は今夜の『魂』への気合や意気込みとはまた別に、


『東京に帰って来たら仁が待ってる。』



仁が俺の部屋で俺の帰りを待っていてくれている。っていうコトが嬉しくて、



ついつい緩む口元を感じながら今夜の『魂』は最高のモノになるッ!と心で決めていた。

【仁亀夢物語@】お※し※ま※い

2012年3月27日ー執筆ー
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