仁亀百色玉手箱〃
□ようこそ!preciousへ-番外編A-
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k「 BL…ですか?」
伊「はい!うちでも再来月から出す事になりまして、是非、創刊号に亀梨先生に巻頭カラーでお願いしたいんですよぉ、」
今日は打ち合わせも兼ねて久しぶりに編集部に顔を出した俺だったが、 思いもよらぬ事態になった。
k「でも俺ぇ…BLなンて描いた事、ないですよ?」
俺は突然の申し出に困惑しながら、担当の伊藤クンに言った。
伊「大丈夫ですよ〜、亀梨先生、ご自分の事を描けば良いじゃないですか(笑)」
k「そんな訳にいかないですよ!…てか、そんなコト大きな声で言わないで下さい//」
俺は周りも気にせず、ハキハキと話す伊藤クンに人差し指を口元で『シーッ!』としながら言った。
伊「あぁ!すみません!つい…」
伊藤クンは慌てて口元を押さえると、小声になって話した。
伊「でも、本当に、そう硬く考えないで楽な気持ちでチャレンジしてみて下さい!僕も応援しますから!」
伊藤クンはそう言って満面の笑みでガッツポーズを見せた。
*:..。o○☆○o。..:*゜*:..。o○☆○o。..:*゜*:..。o○☆○o。..:*゜*:..。o○☆○o。.
k「BLかぁ〜・・・」
斗「はい、先生は特製ココア、なンすか? 今度の仕事BLなンですか?」
仕事場に戻り、机に向かって独り言を呟いていたら、斗真に聞かれた。
k「ありがとう♪ うん、編集部に寄ったら、いきなり伊藤クンに言われた、」
俺は、斗真から生クリームたっぷりのココアを受け取り一口飲んだ。(うーん♪ 美味しい〜♪)
斗「いいじゃないですか、BL 、俺、描いたコトないですけど、」
k「俺だって描いたコトないよ、 どうやって描こう〜」
俺は椅子を回転させながら上を向いて悩んだ。
斗「別に、自分のコト描けば良いじゃないですか、悩むコトないでしょ?」
k「ソレ、伊藤クンにも言われたぁ〜、 自分のコト描くなンてヤダねッ」
俺が唇を尖らせて斗真に言うと、斗真はニヤリと笑い言った。
斗「いいじゃないですかぁ〜、自分の体験描けば(笑) 俺も健も回される原稿見て『あー、亀梨先生と仁さんて、こンなコトしてるンだぁ〜、って思いながら背景やらベタ入れしますから(笑)な、健?』
健「え?// あ・・・あの・・・//」
k「斗真!健クン困ってるジャン! からかうなよぉー悪魔降臨してンな?! てか、そう言うだろうと思って描くのがイヤなンだッ!//」
斗真が話をフッたのは、先月から新しくアシスタントに入った佐藤健クンだった。
佐藤クンはまだアシスタントになって間も無くて、他での経験も無いので今は斗真の下でアシスタントの修行をしている様な感じだ。
斗「健!遅い!そンなンじゃ終わンねーぞ!」
健「す、すみませんッ!」
斗「ベタは同じ方向に塗る!そンなコトも知らないのかぁ?!」
健「は、はいぃ!!すみません!!」
などなど、毎日こんな調子で斗真の鬼の指導を受けている。
健クンは、小柄で、大人しいのもあって見ていて気の毒なくらいで、たまに助け舟を出してしまう。
k「斗真、もうちょっと優しく教えてあげたら?健クン専門学校出たての、ほぼ初めてのアシスタントなンだから・・・」
俺がそう言うと、斗真はキッ!と俺を睨みつけて言った。
斗「先生!甘いです!初めてだからこそ、基本を叩き込むンですよ! 今甘やかしたらコイツの為になりません!」
k「はぃ・・・すみません・・・」
斗真の言ってるコトは正しいだけにそう言われるとぐうの音も出ない。
俺も謝って席に着いたりして・・・。
でも、どんなに厳しい言葉を投げ付けられても、ヘタレるコトなく真剣に原稿に向かっている健クンを見ていると、「俺も頑張らなくちゃ!」と、やる気が出る。
そういう意味では健クンが入って新しい風と共に刺激もある日常になっているかも知れない。
k「とりあえず、みんなどンなストーリーを描いてるのか調べてみるよ、」
斗「え?先生、BL読んだコトも無いンですか?!」
斗真は酷く驚いた様に言った。
k「ないよ、今まで少女漫画か、少年漫画しか読んだコトないなぁ、あ、たまに青年誌は読むけど・・・」
斗「それじゃぁ、良いサイト教えますよ、携帯で簡単に読めますから、」
斗真はそう言って携帯をポケットから取り出すと俺宛にURLを送って来た。
k「ありがとう、 後で仕事終わったら見てみるよ、」
俺はそう言って自分に送られて来た斗真からのメールだけ見て仕事を始めた。