§勝運御伽草子§
□ビードロと煙管
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※お詫び※
お話を書くにあたってのお詫びなのですが、お話の解説にも書いた通り明治時代から大正時代にかけてが舞台背景のお話ですが、
なにぶん、ワタクシともちが不勉強なモノで…( ̄▽ ̄;)
細かな時代考証などは無視して書いておりますので、ソコのところよろしくお願い申し上げます。
m(_ _)m
目を瞑って下さいまし( ̄▽ ̄;))
ソレでは参ります…
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時は明治から大正時代へと移り変わろうとしている時代ー、
雄「あ〜っ゛腹減ったなぁ〜…↓」
俺の名前は中丸雄一。
しがない絵描きだ。
雄「順風堂のカステーラ!美味そうだなぁ〜っ゛」
俺は街を歩く中ー、最近流行りの長崎から渡って来たという『カステーラ』を売りにしてる甘味処の前で立ち止まり懐から財布を出し紐解いた。
雄「五銭…コレっきゃないかぁ〜っ゛
カステーラは一円。バカ高いな!」
俺は店内から漏れてくる何とも言えない甘〜い香りに誘われながらも、手持ちの金の無さに肩を落としテクテクと歩いた。
雄「仕方ない。常磐屋の饅頭でも買うか。饅頭なら一銭で2個買える、」
俺はどうしても甘いモノが食べたくて角を曲がった所にある饅頭屋を目指した。
と、その時だー!
雄「うわっ!…イっテ!?」
亀「ごめんよ!兄さんっ゛♥」
角を曲がる瞬間!俺の懐に勢いよく飛び込んで来た奴がいた!
雄「痛いじゃないか!前!よく見て歩けよっ!」
和「ごめんよ〜っ゛♥」
俺にぶつかった相手は16.17の少女。白地に赤や青の朝顔模様の着物を着て腰には真っ赤な兵児帯(へこおび)を巻いていた。
雄「…たく、もぉーっ!」
俺は砂まみれになった着物や袴を手で叩きユラユラと揺れながら走り去る少女の兵児帯を見ながらボヤいた。
と、その時だ!
雄「無い!財布が無いっ!」
さっきまであったはずの懐の財布が一瞬のうちに消え去っていた!
雄「俺の泣け無しの五銭!…あ!さっきの…っ!スリだ!」
俺は真っ赤な絞りの兵児帯を着けた少女の後を追った!
雄「アイツ!何処へ行った?!」
その日は、丁度夏祭りで街はごった返し、俺は袴をたくし上げ道行く人波を掻き分けながら真っ赤な絞りの兵児帯を探した!
雄「あっ!居たっ!」
俺は金魚売りが担ぐ天秤棒の向こうに走り去る真っ赤な兵児帯を見つけて一目散に駆け出した!