10Ks!

□ぴぃの憂鬱 ◇2020◇
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「何か言いたい事はあるか?」

静まりかえった事務所の会議室

俺は突然一条さんに呼び出されて雄一との夕食タイムもそこそこに駆けつけるとぴぃがしこたま一条さんに叱られた後のようで
深く項垂れて椅子に座っていた。


「遅くなりました」

俺が頃合を見て言うと一条さんは腕組みしたままぴぃの隣に座れと顎をしゃくって見せた。

俺は一条さんに指示された通りぴぃの隣に行き椅子を引いて座った。

「あの…何があったんですか?」

俺の質問に一条さんは深いため息をつきスマホを渡してきた。

「失礼します」

俺は一言いって一条さんから渡されたスマホを見た。

Twitterの画面が出て来てソコには文春記事を貼り付けたツイートが沢山あった。

「コレって…!」

記事を読むうちに今の現状が把握出来た!

「えっ!あの子未成年だったの!?…17歳!!?」

驚きの余り素っ頓狂な声を上げる俺の隣でガクっと身体を落とすぴぃ。垂れた前神が床に着きそうだ。


「お持ち帰り……しちゃったの…?」

スマホから目を離しぴぃを見るとぴぃは無言。代わりに一条さんが話し出した。

「お持ち帰りうんねんの前に、未成年との飲酒が問題だ」
「ソレはそうですけど…あの子が未成年だとは知りませんでしたよ?俺が行った時にはもう店の中に居たし、他の人達とも打ち解けてたし、」
「相手も店には前から来ていた様だしな。」
「年齢確認は?ああいうお店ってしますよね?」
「店側は本人から成人してると聞いていたらしい。偽装だったらしいが」
「偽装!?ソレなら女の子に問題があるじゃないですか!確信犯でしょ?」
「確信犯ね。確信犯はどっちなんだろうなぁ?山下」

一条さんは項垂れたままのぴぃの顔を覗き込むように腰を折って言った。

「え?まさかぴぃ未成年だって知ってたの??」

俺の質問に今まで黙り込んでたぴぃが顔を上げて言った。

「知ってたよ」
「知ってたのぉー!?じゃあ、なんでっW」

「やっと正直に話す気になったか」

そう言って椅子を引きぴぃを睨み付ける一条さんはまるで取調室にいる刑事のようだ。

言うなればぴぃは容疑者で俺はさしずめ記録係の若手刑事だ。

そう

事務所の会議室は警察署の取調室に変わった!

「知ってて何で一緒に飲んだ?」
「彼女は他の連れが呼んだんです。お酒は飲めないけどバーの雰囲気は好きだとかいう子が居るって」

そう言ったのは多分O氏だろうな
と、俺は心の中で思った。
O氏は一般人だけど顔が広く芸能界に人脈も多い。かくいう俺もとある業界人を通して知り合いになった。

容疑者ぴぃは更に話す。

「彼が女の子がいた方が花があって良いでしょうって彼女と友達を呼んだんですよ。…いや、友達は彼女に呼ばれて来たって言ってたかな?」
「元アイドルのCさんも居たよね?」

俺はその時の状況を思い出しながら言った。

「いた。彼女も呼ばれて来てたんだ。面識は無かったけどまぁー別に人が多い方が楽しいかと思って」
「一緒に飲酒したと。随分盛り上がったみたいだなぁー、テキーラのショットグラスと高級シャンパンの瓶が山積みだったそうじゃないか」
「あ、高級シャンパンは自分が入れました。飲みたかったんで」
「そんなコトはどうでもいい!」
「すみません…けど、山積みは大袈裟ですょ?」

元気に挙手して名乗り出た新米刑事の俺にベテラン刑事の一条さんから叱咤が飛んだっW
しおしおと手を下ろす新米刑事の俺

改めて記録係に戻った。

「記事を見た限りでは彼女も飲酒はしていたようだな」
「お酒、飲んでみようかなって感じで飲んではいました。…飲めないって言ってた割には結構強くてグイグイいけるんでその場のノリで飲んだのかと…」
「で?未成年だと知ったのはいつだ?」

その場の状況を話すぴぃに一条さんが切り出した。

「…途中からです」
「途中とは?」
「バーに居る時は未成年だとは知りませんでした」
「なら何処で知った」

ベテラン刑事の一条さんの詰問にぴぃは言いづらそうだった。

「ソコ、重要ですか?」
「重要だな」
「チッ!……なんでだょ」

一瞬開き直ったぴぃだったけど、仕方なさそうに答えた。

「ホテルで知りました」
「お持ち帰りした時だな」
「お持ち帰りとか言わないで下さいよ!一条さんの口からそんなゲスい言葉聞きたくない!」

(えっ!ソコ!?)

若手刑事の俺は心の中で思った。

「一条さんのイメージが崩れます!」
「俺のイメージなんてどうでもいい お持ち帰り…ゴホン! テイクアウトした後に知ったんだな?」

(テイクアウト……)

「そうです。テイクアウトした後に知りました。」

(テイクアウトは良いんだ!)

俺は真面目な顔で質疑応答している2人を他所に何だか別のトコロで反応していたっW
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