10Ks!

□桜の下には…
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3月某日。

東京も桜の開花情報が流れてから数週間が過ぎ、七分咲き八分咲きの桜がアチコチに見える季節。

俺たちKATーTUNは来月行う復活ライブに向けて舞台構成から選曲等など…話し合う機会も増えて自然と雄一に会える日も増えた。

(増えたンだけど…しっくり来ない)

俺は目深に被った帽子の奥から青いサングラス越しにテーブルを挟んで身振り手振り目の前で熱弁を振るう雄一を見ながら悶々としていた。

(理由はわかっている。雄一には会えてはいるけど、『逢えて』はいないからだ。…ソレに…)

俺は事務所の会議室に向かう途中の廊下で嵐の二宮くんと親しげに話してる雄一を思い出していた。

雄「いやぁー、ホント!すみませんでした!」
「いやいや、アレは無いよね。俺、傷ついたもん」
雄「いや、本当にすみません!」
「そう謝られてもねぇ〜…俺、一生忘れないわ、」

一体何の話をしているのか、そんな会話が耳に飛び込んできて俺は咄嗟に隅に置かれた観葉植物に隠れてしまった。

軽く腕組みしながら話す二宮くんと焦った顔で頭を下げる雄一。
『なんだ?』と、身を隠しながら2人を見詰める俺。
ちょっと前に終わったドラマ『FINAL CUT』の慶介の気分だ。

雄一と二宮くんはソレから二言、三言話して別れたけど、雄一が二宮くんを見送りながら執拗に頭をペコペコ下げ続けて居たのが気になって雄一に聞いたけど、

和「よっW二宮くんとなに話してたの?」
雄「おっW亀、おはよ!…いや、別に…大したコトじゃないよ、」

と、明らかに目を泳がせて答える雄一に尚更疑惑が沸いた。

(何だったんだ?アレ?雄一が何か二宮くんを怒らせるようなコトでもしたのかな?…けど、二宮くんの態度は別に怒ってる風じゃ無かったしな…)

俺は、先日行ったファンイベントの成果や反省点を話し合い4月のライブに生かそうと集まったというのに、話し合いをしながらも頭の片隅には先程見た雄一と二宮くんの会話と姿がずっとあって平常心を装いながらも心の中はわけのわからないモヤモヤでいっぱいだった。


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ソレから数日後。


雄「亀、今日コレから家来ない?」

再び、集まった席で雄一が俺に言って来た。

和「なに?急に、」
雄「いやぁ、最近2人で逢えて無いだろ?たまには2人で逢いたいと思って…」

上田は次の仕事があり、マネと先に会議室を出て行き雄一と2人見送った。

雄「ダメか?」
和「ダメじゃないけど…」

なかなか返事しない俺に雄一が聞いてきて、俺は俺でこの間の二宮くんとのコトがまだモヤモヤしていて即答出来ないでいた。

雄「和也に見せたいモノがあるんだよ。」
和「見せたいモノ?」

「うん」と、頷いた雄一は何だか嬉しそうに笑っていて俺もその笑顔にほだされそのまま雄一の家に行くコトにした。


雄「2人が同じ日に半日オフになるのなんて何ヶ月ぶりだ?」
和「かなり久しぶりだよねっW俺はドラマ入ってたし、オリンピックで平昌行ってたり雄一も国内も海外もロケ多かったし、なかなか2人のスケジュール合わなかったモンね、」

俺は雄一の運転する車に乗り心に多少のわだかまりがあるにしろ、久しぶりのプライベートでの2人っきりの空間に喜びを感じて半ばはしゃぎながら楽しく話した。


雄「ただいまー、、ちょっとココで待ってて、」

部屋に入った雄一は玄関に俺を待たせて自分だけ部屋に上がり何やら支度をしている様だった。

雄「お待たせ!イイよ、上がって、」
和「お邪魔しま〜す……わぁーっW❤」

雄一に促されブーツを脱いで玄関を上がりリビングに入ると目の前に満開の桜の枝が開け放たれたベランダの窓から所狭しと部屋に入り込んでいるのが目に飛び込んで来た!

和「どうしたの!コレっW?!」
雄「スゴいだろっ!貰ったんだよっW」
和「貰ったって、誰に??」

俺は窓辺に近付きベランダで上手に吊るされてる桜の枝枝を触りながら聞いた。

雄「假屋崎省吾さん」
和「假屋崎省吾さん?あの、華道家の?」

俺は思いがけない名前が雄一の口から出て来て驚いた!

雄「假屋崎さんとはプレバトって番組で一緒になったんだけどさ、ソレから何回か会う機会があってつい昨日も假屋崎さんの展示する花を観に行ってたんだよ、あ、自宅にも行ったコトあるよ、」
和「えっW假屋崎さんのお宅にも行ったコトあるのっW!?」

雄一の知らぜらる交友関係に驚いて目を丸くする俺に当の雄一は平然と頷いて話し続けた。

雄「昨日はたまたま、展示品の桜を生けてる時にお邪魔して使わないっていう桜の枝を頂いて来たんだ、」
和「コレ、全部っW?」
雄「うん、勿体無いだろ?まだ、こんなに綺麗に咲いてるのに処分しちゃうなんてさ、」
和「…にしても、コレだけの桜の枝運ぶの大変だったんじゃない?」
雄「大変だったっWw假屋崎さんから軽トラ借りて運んだっWw」
和「軽トラ!?」

俺は笑いながら話す雄一に呆気に取られながら勧められるがままに桜の下に敷かれた青々としたい草のマットの上に足を伸ばして寛いだ。

和「スゴいなぁーっW家の中で花見だねっW❤」
雄「だろ?ほい、ビール❤乾杯しようぜっW❤」

雄一は冷蔵庫から缶ビールとおつまみに味のある笊に入れた枝豆を持って来て俺に渡した。

雄和「「カンパーイっW❤」」

まだ明るいうちから飲むビールはまた格別で❤

俺と雄一はい草のマットの上で胡座をかいてツマミの枝豆を食べつつ手を伸ばせば触れる桜の花を愛でながら楽しく会話を弾ませたっW
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