10Ks!
□嵐の夜に『なかまるくんのおてて』
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雄「凄い雨だな。台風の影響ハンパ無いな」
大型台風18号は北上中
俺の住む東京でも深夜から明け方に掛けて暴風雨にみまわれると天気予報でやっていたけどその通りになった。
雄「ちょっとコンビニ行きたいと思ったけど、この風じゃあムリだな。やめたほうが良さそうだ。」
今日は朝から冷え込んでいて、仕事から帰宅した俺はホットココアを飲みながらリビングの窓越しに外の様子を見て外出するのを諦めた。
«pin…poo…n!»
雄「うん?誰だ?こんな時間に」
思いがけずインターフォンが鳴り、俺はカメラを覗き込んだ。
雄「えっ!亀っ!?」
亀「中丸ぅーっW開けてぇーっW」
ソコに映っていたのは亀でー、
上下黒の服を来て薄い青色レンズのサングラスをしているのが見えた。
雄「どうしたんだよ?急にっW…てか、ビショビショじゃないか!?」
慌ててロックを外し玄関を開けた俺の目に飛び込んで来た亀は頭の先から爪先までビショ濡れになった亀の姿でビックリした!
亀「マンション近くまでタクシーで来たんだけど、変なトコで渋滞しててさ、待つのめんどくさいからココでイイですって言って降りて来ちゃった、そしたらスゴイ雨でさっW大した距離歩いてないのにパンツまでビショビショっW見る?」
雄「見ないっW見ないっWw…つか、酷い雨なのはわかってただろ?台風来てんだからっW」
俺はバタバタと浴室に走りタオルを持って玄関にいる亀に渡し髪や顔を拭いている亀に呆れ顔で言った。
亀「あー、靴もぐしゃぐしゃ、俺のルブタンちゃんがっW」
雄「靴下もだろ?靴も靴下も脱いで上がれよ。風呂湧いてるからスグ入るとイイ、」
亀「うん、そうする。中丸、肩貸して」
俺は一段廊下から玄関に降りて亀に肩を貸してやり亀は俺に寄り掛かりながら脱ぎずらそうにお気に入りのルブタンの靴と靴下を脱ぎ白い足を覗かせた。
髪は烏の濡れ羽色
大雨に打たれた亀はタオルで頭を拭いたにも関わらずまだその毛先からポタリポタリ…と、雨の雫を垂らしてその滴が俺の手にも垂れてその様子にしばし見蕩れた。
(いやいや、見蕩れてる場合じゃないっW早く風呂に入れないと亀が風邪をひく!)
俺は亀に魅入っていた頭を真横にブンブン振り濡れたままの亀を部屋に入れた。
雄「着替え、パジャマでイイよな?ココに置いとくから、」
亀「うん、ありがとうっW❤」
家に置いてある亀の真っ白なシルクのパジャマをクローゼットから取り出し洗面所の棚に置いてリビングに戻った。
雄「風呂、丁度沸かしておいて良かったっW…ソレにしても、亀のヤツこんな雨の中何しに来たんだろう?」
俺は不思議に思いながら残ったココアに口を付けた。
待つこと一時間ー、
亀はホカホカの湯気に全身包まれながらウキウキと鼻歌交じりにリビングに入って来た。
亀「ニャンニャン♫にゃニャン♫ニャンニャン♫にゃニャン♫」
雄「ご機嫌だなぁーっW飲む?」
亀「飲むっW❤」
俺は亀に温かいワインを渡し自分も飲んだ。
亀「美味しいっW❤生姜効いてるねっW❤」
雄「少し入れ過ぎたかな?レモンは丁度イイと思うけど…」
俺は滅多に作らないホットワインのレシピを携帯で調べて作ったけどイマイチ味に自信が無かった。
亀「美味しいよ❤シナモンスティックもイイ香りだし❤なんか、ホッとする❤」
亀はそう言って満足そうにソファーに座り足を組んだ。
雄「トコロで…何かあったのか?こんな雨の中来るなんて…」
俺もソファーに座り隣で髪を拭く亀に聞いた。
すると、亀はクルリと俺の方を向いていきなり大きな声で話し出した!
亀「ある!いや、あった!」
雄「なっ…!なんだよ?何があった!?」
亀の余りの勢いに驚いて俺は思わず後ろに身を引いて聞いたっW
亀「猫」
雄「へ?猫??」
俺は亀が言ってる意味がわからず拍子抜けした声を出した。
亀「猫っ!今日のシューイチで中丸、猫のなりきりやってたでしょ?アレ、全然っWダメ!」
雄「へ?…アレ見てダメ出ししに来たのか?」
亀「うん、」
雄「わざわざこんな台風の日に?」
亀「そう、」
俺は1問、1問、確認する為に亀に聞いたけど、亀は真剣な顔で俺の質問に頷いたから面食らったっW
雄「え?え?俺の猫になりきり、そんなに悪かった?」
亀「悪かった!てか、酷かった!」
雄「こんな暴風雨の中来なきゃならないほど?」
亀「酷かった!」
雄「ええーっWww」
亀「だって、中丸の猫は身体が硬すぎるよっW猫はもっとしなやかな動きしなくちゃ、見ててっW」
亀はそういうと、飲んでいたホットワインのグラスをテーブルに置いてラグマットの上に四つん這いになった。
亀「まず、手は軽く握るでしょ?ソレから猫じゃらしを狙う時は上体を低く下げてお尻は上げるの、首から上は猫じゃらしを狙ってるから上向けるんだよ、」
雄「本格的だなっWww」
亀「本格的にやらなきゃっW中丸も座って無いで四つん這いになってっW」
雄「えっ?俺もっ?」
亀「当たり前だろ!早くやって!」
(当たり前と言われても…
俺が猫の動作を教えてくれと頼んだワケじゃないんだけど……)
俺は心の中で思いながらヤル気満々の亀には逆らえず、仕方なく渋々と床に四つん這いになった。