10Ks!

□ぴぃの憂鬱 - 2 -
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亀「あーっ゛中丸に逢いたぁーいっ゛」

今日はドラマの撮影を挟んで〇テレの音楽番組『Tha Music Day』のリハに来ていて、楽屋に入るなり天井に向かって叫び鞄に突っ伏す亀と遭遇した。

智「おはよ。なんだよ、いきなりww」
亀「あ、ぴぃ。おはよ、」

亀は布製の鞄に顔を突っ伏したまま、上目遣いに俺を見て言い、
その目が少し赤いコトに気付きながら俺は隣に座り鞄をテーブルに置いた。

智「目、赤いな。寝てないのか?」
亀「寝たよ、…寝たけどよく眠れなかった、」

亀は顔だけ俺の方を向き拗ねた様子で答えた。

智「なに、原因は中丸?」

俺は鞄からスマホを取り出しながら聞いて亀はコクンと小さく頷いた。

亀「中丸、メールするって言ってたのに…来ないんだモン、」
智「何日来てないの?」
亀「18時間」
智「18時間?一日も経ってねぇ〜じゃんっ!」

スマホを弄りながら聞いていた俺は呆れて亀を見た。

亀「だって、成田空港から連絡あった時は着いたらメールするって言ってたんだモンっ!」

亀はガバリ!と顔を上げてぷんすか怒って言ってほっぺをプクっと、膨らませた。

(可愛いなぁー…本当に俺と同い年か?w)

智「成田空港?中丸、海外行っんの?」
亀「バリ島。 シューイチのロケだって、」
智「バリかぁー、イイなぁーっ゛俺も行きてぇわ、」

俺はチュッパチャプスを鞄から出して咥えて話した。

亀「でしょ?俺だって行きたいっ゛中丸とバリ島❤…きっと楽しくて俺との約束忘れてるんだ↓」

亀はそう言うと、また鞄の上にペシャンとなった。

智「楽しいんじゃ無くて、タダ単に忙しいんじゃないの?バリ島へは直行便?」
亀「直行便。片瀬さんと行ってるからなぁ〜…今回、御目付け役の秀さん居ないし、きっと南の島で羽根伸ばしてるんだぁーっ゛」
智「おい、おい、まさかの共演者にヤキモチ??他にも誰か行ってるんだろ?」
亀「〇テレの佐藤義朗アナが同行してる…」
智「なら、大丈夫じゃん。…つか、少しは中丸を信じてやれよ。アイツなら浮気はしねぇよ、」

俺は落ち込む亀の頭をポンポンして言うと、亀はやっと気持ちが浮上したのか、

亀「うん❤そうだね❤ありがとう!ぴぃっ゛❤」

と、言って可愛らしい笑顔を見せた。


「おい、お前達なにやってる!早くスタジオに向かえ!カメリハ始まるぞ!」

ソコにチーフマネの一条さんが入って来てマッタリしていた俺たちに喝を入れた。

亀「はい!今行きます!すみません!」
智「ハァーイ、急ぎまぁーす、」
「Dスタだからな!」

一条さんはジロリと俺を睨んで一言いうとドアを閉め出て行った。

智「うー、怖っ゛w」
亀「ぴぃがあんな態度で返事するからぁ、…でも、イイなっ゛ぴぃが羨ましいよ、」
智「俺が羨ましい?なんで?」

俺は亀からの意外な言葉に鞄をロッカーに入れながら聞いた。
すると、亀は少し言いづらそうに小さな声で言って来た。

亀「だって…ぴぃ、一条さんのコト好きでしょ?好きな人と常に一緒に居られるんだモノ…羨ましいよ、」
智「俺が一条さんを好き?」
亀「うん。違うの…?」
(bingo! 違わない)
智「…いや、…うん」

俺は曖昧に答えながら上着の襟を直した。

亀「やっぱり!あ、誰にも言わないから安心してっ゛俺、口は固いからっ!」
智「ああ、うん。Thank you」
亀「でも、やっぱり羨ましいっ゛❤好きな人と一緒ってイイなぁーっ゛❤さ、行こう!」
智「おお、」

亀は元気を取り戻したようで、笑顔で振り返りながら前を歩きにこやかにすれ違うスタッフ達に挨拶をしていた。

(俺はお前の方が羨ましいよ。
中丸と両思いだろ?…俺なんて、まだ相手が自分をどう思っているかもわからないのに…)

…と、俺の前を元気に闊歩する亀を見ながら心の中で思った。
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