図書館からの寄贈本

□私を呼ぶ聲
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ーーー人生、あながち意外性も必要なのかもしれない。





◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





ーーー黒子テツナは困惑していた。





「ーーーくぅろこっちぃぃぃいいい!!」

「うるせぇ、黄瀬!!」

「俺とだよなっ、テツ!!」

「ふざけないでよ、ガングロクロスケ!!大ちゃん達なんかお呼びじゃないの!!」

「俺の今日のラッキーパーソンは"水瓶座の女"なのだよ!」

「意味不明ww……あ、テッちゃん、俺とは?」

「だアホ!!お前ら、黒子が困ってんだろうが!!」





関東圏の"キセキの世代"及びその仲間(一部除外)が各々黒子を誘おうとし、誠凛メンバーという壁がソレを必死に阻んでいる。





「黒子ちゃん、俺は君と付き合うために生まれてき「森山、いい加減にしような?黒子さん困ってる」

「あ、小堀さん、あざーす」

「なぁなぁ、ワイも可愛らし黒子ちゃんとおりたいんやけど」

「サトリは黙ってろ!!」

「スミマセン!僕も……スミマセェン!!」

「謝るくらいなら、言うなや!!」

「ドッセーイ!!」

「ウッセ!!」

「……日向、本当、今日くらい俺達も黒子に癒してもらいたいんだが……」

「ウチのパイナップルやるから」

「大坪さん、御愁傷様。木村さん、パイナップルで黒子を買おうとするな!」





日向のツッコミが響く。
もう、他校生だとか上級生だとかお構い無しだ。
このような状況になったそもそもの発端は、誠凛+秀徳+海常+桐皇の合同合宿が始まってからだろうか……。
……余談だが、このような(悪)夢の様な企画が実現したのは、黒子の携帯電話の電話帳に記録されているのをカントクが使用して取り付けたのだが、本人の預かり知らぬ所だったりする。
さて、そんな怒濤と波乱、修羅場の合宿最終日は、各校監督達とカントクの父・相田影虎氏の配慮により、帰省ギリギリまで自由になったのだった。
……そんな配慮が出来るのなら、地獄のメニューなんて作って欲しくなかった。
しかしながら現金なもので、彼等は自由を謳歌しようと……どうせなら、好き(この場合は"お気に入り"から"恋慕"まで様々)な子と……そうして、最初に動き出したのは、剃毛も脱毛も出来ない程の剛毛を心臓に生やす"キセキの世代"だった。
迷惑極まりないキセキ達のアタック(「黒子っちと俺達は仲良しッスよねー?」「そうでしたっけ?黄瀬君達より巻藤君とかの方がよくお喋りしてましたよ?」「冷たいッス!!」)を遮り自分が……という形で各校メンバーとマネージャーの桃井が加わり、それらをも遮り彼女を守る形で誠凛メンバーが加わった。
そうして今に至る。
各校監督達はもうすでに消えており、ストッパーのいない現状は危険極まりない。



ーーー誰か、出来れば穏やかに、場を納めてくれそうな人はいないでしょうか……。



オロオロキョロキョロと辺りを見回し、不意にパチッと視線があった。



ーーー"彼"なら、どうにかこの空気を打破してくださるかもしれません……!



黒子は渾身の期待を乗せて"彼"の名前を呼んだ。





「ーーー諏佐さん……!」
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