図書館からの寄贈本
□飴玉と硝子瓶
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ーーーねぇ、透明な硝子瓶を見てるとさ、キラキラしたビー玉とか、色の綺麗な飴玉とか、容れてみたくない?
………うん、今なら分かるよ。
分かる。
この言葉を聞いた当初は、理解できないって言って、君を苦笑させてしまったね。
でも君は、「じゃあ、コインとかは?」て、言って、今思うとくすぐったくなるんだ。
君の姿、君の声、君の言葉、君との思い出ーーーお金にならないモノを初めて僕は好きになったんだよ?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「う〜〜〜〜〜ん…暇だ!」
今日は、リボーンがイタリアに、おじいちゃん(と昔みたいに呼んでくれと言われた)こと、ボンゴレ九代目に用事で出掛けていて、母さん達はデパート。ビアンキは鰻パイ作る………て、言ってたっけ。
そうして、家はガラン。
俺一人。
……と言っても、元々は京子ちゃんやハルと遊ぶ予定があったんだけど、二人とも風邪。
風邪ひかない馬鹿な俺は「お見舞いしたい」と言ったが、二人とも「ツナちゃんに移っちゃうから…」とか「ツナさんがハル達を心配してくれただけで、ハルは嬉しさのあまり昇天してしまいそうですぅ!!」と言われた。
……………死なないで、ハル。
こんな日に限って、獄寺君はダイナマイトの調達、山本は家の手伝い。炎真君はファミリーの皆と買い物ーーーなんか、凄く寂しい。
そんなこんなで、ゲームをするでもなく、ベッドの上でダラダラ過ごしていると、
ーーーコツコツ!
「ーーーん?」
最近(ランボのせいで)買い換えた窓ガラスを叩く音がして、慌てて身体を起こした。
この時の俺の予想は、雲雀さん。
二回の窓から侵入………うん、雲雀さんしか思い付かない。
だけど、雲雀さんなら、きっと窓ガラスを叩いて律儀に侵入の許可を取ろうとしない………雲雀さんだから。
でも、相手は予想外で、俺は驚いてしまった。
ーーーそれから、俺の勘が、悪い事は何もない……そう教えてくれた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「はい、ホットミルク。身体冷えたんじゃない?」
「ム。気が利くじゃないか」
「あはは。ありがとう」
小さな小さな客は、小さめのマグカップ(偶然あったカエルの絵のヤツ)を両手で持って、フーフーと中身を冷ました。
その頭の上には、カエルのファンタズマ………だっけ?
ーーーめちゃくちゃ可愛い!!
同じアルコバレーノでも、リボーンと大違いだ。
そのまま、ジッと見すぎていたのか、マーモンは少し身じろぎした。
「………ちょっと、あんまり見詰めないでくれる?」
「あ、ゴメンゴメン」
「ムム。もう少しで観察料を取ろうかと思ったよ」
「えぇえ!?お金取るの!?」
「当たり前じゃないか」
頬を膨らませ、フンッと鼻を鳴らす……そんな生意気な言動すら可愛いとか、同じ赤ん坊でも、リボーンとは(以下略)。
……あ、でも、お金を要求するのはーーー
「あ、そうだ」
「???」
「ちょっと待っててね。ーーーお金じゃないけど…はい」
「………これ」
「好きだったよね?五円チョコ」
マーモンの小さな手のひらに乗せたのは、これまた小さい五円チョコ。
前に好きって言っていた気がしたから、家に置いといたら、家に来るかな……なんて、考えたからかな………結局、ちび達が気に入って、最近では家で一番消費の激しいお菓子だ。
マーモンは普段ヘの字の口を猫っぽく口角上げて、「分かってるね」と言った。