キセキと赤司様の犬
□出会ってみた
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4月下旬。
ようやく学校生活に慣れてきた頃。
俺はアイツに出会った。
「あっくんいますかー?」
授業の合間の休憩時間。
ガヤガヤと騒がしい教室に聞きなれない声が響いた。
このクラスの者ではないやつが前のドアから顔を覗かせている。
席順は入学当初のまま。
『赤司征十郎』なので俺は廊下側の一番前の席。
やつの目の前には俺。
自然目があった。
「あっくん知りませんー?」
ダルそうに語尾を伸ばしながら言う。
中性的な顔立ちをしており男だか女だかわからない。制服は…と見るが体育の授業だったのかジャージを着ていて。
首元を伝う汗に目を奪われた。
……綺麗だ。
ふとそんなことを思ってしまった。
「あの聞こえてますー?」
「あぁ、すまない…で、あっくんて誰だい?」
「あー紫原君です」
紫原敦
共にバスケ部に所属しており、おそらくとんでもない選手に育つであろう男。
彼を探しているとはどういうことだろう…
とりあえず紫原は教室にいないことを告げる。
するとやつはあー…と唸ってから布に包まれた何かを俺に突き出した
「弁当…?」
「忘れてったから。渡しといて、ありがとー」
「な…ちょ、」
俺が受け取ったのを見てからやつは「あ、やべ。着替えないとー」と言いながら走り去っていった。
紫髪のおチビさん
「敦、弁当忘れただろ」
「あれなんで赤ちんが持ってんのー?」
「…紫髪のオチビさんが持ってきた」
「あーありがとー」