進撃ss

□痴漢?ごめん忘れてた!
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言ってしまった


どうしよ、もう後戻りは出来ないよな。言っちゃったもんな。


「………。」


あぁ、リヴァイさん凄い怖い顔してる、いや元からか?けどいつもより眉間の皺が濃いような…。やっぱ怒ったのかな


「あの、その…」

「………。」


そりゃそうだよな、俺達つい最近知り合ったただの被害者と警察官なんだし
今まで親身になって痴漢対策考えてくれてたのに、恩を仇で返すような事しちゃったなぁ


くっそ、やっぱ言わなきゃよかった



この気持ちが恋だって気づいたのは、ついさっき

リヴァイさんが凄い近くて、
あんなむさ苦しい電車の中でもリヴァイさんの良い匂いが独り占めできるくらい、近い距離で

心臓が爆発する、なんてよく少女コミックで見かけるけど、何となく分かる気がした

本気で爆発するかと思うくらい、心臓バクバク言ってた


それが何故かって、そんなの簡単に答えはでちゃったんだ

赤くなる顔が治らず、心臓も五月蝿いままで、凄いモヤモヤしたからどうにかしようとして、その結果が……



いやでも、やっぱあまりにも告白するのが早すぎやしないか、俺

普通もっと気になる人にアプローチして、アタックして、何かしら促すもんだろ?



ドストレートすぎた、今更後悔だ


リヴァイさんだって、こんな高校生のガキに告白されたって困るじゃないか

あぁ…もう関わってもらえないかな
もう一緒に電車乗ってくれないかな
でもリヴァイさん優しいから、無かった事にしてくれるのかな

…それは嫌だなぁ


ああああ、やっぱ言わなきゃよかったんだ!もっと時間をかけて、距離を縮めて仲良くなってから、




「本当に好きなんだな?」

「へ?」



改札口付近に屯する人達は、既に殆ど見あたらなかった



「だから、本当に俺の事が好きなんだな?」


「へ、あ、あ……はい。好きです。ごめんなさい。」


「何で謝るんだよ」



俺の側まで歩み寄って、リヴァイさんは俺の頭を撫でてくれた

身長的に屈んだ方がいいのかなぁ
いやけど、そんな事したら肋一本もってかれそう。俺の勘がそう言っている気がする



「気持ち悪く、ないんですか…?俺、リヴァイさんの事好きなんですよ?」

「てめぇに痴漢する豚野郎の方が気持ち悪いがな」

「っ、で、でも!俺は高校生で、リヴァイさんは大人の…しかも警察官なんですよ?」

「……お前、それを言うなよ。こちとらそれで葛藤中なんだぞ」



はぁ、と溜め息をついて彼方を見出したリヴァイさん

そんなリヴァイさんも様になっててカッコいい

写メ撮りたい、写メ



…俺はここ数日で大分リヴァイさんの虜になってしまったらしい



ピロリン




「…おい、何やってんだ」

「あ、すみません!反射条件です!」

「反射で人の写真撮るなんざ聞いた事ねぇぞ、消せ」

「だっ駄目です!!これは保護してプライベートフォルダにロックかけて大切に保存するんですから!!!」


「………」



随分恥ずかしい事を言ってるのは百も承知だが、これを消されないなら恥なんて捨ててやる

リヴァイさんはまるで俺の事を奇怪な物を見るような目で見ている


…若干傷付く




「…じゃあ俺にも撮らせろ」

「はい?」

「ほらこっち向け」

「いやいやいや嫌です!!止めて下さい!!!」

「てめぇ…エレンよ。俺だけ撮らせねぇたぁ不平等じゃねぇか?あ?」

「……。」



そう言われたらぐうの音も出ない


「…まぁ、いい」


そう言ってリヴァイさんは携帯を元あったスーツのポケットに仕舞ってしまった

え、今の口論の意味とは



「…ところで、エレン。お前本当にいいのか?」

「?」

「お前は高校生、女子とそういう関係になって盛る時期だ。
その点俺は社会人で、しかも男だぞ?」

「………。」

「今からでも後戻りは利く。冷静に考えてさっき言った事は無かった事にしても俺は別に、」

「嫌です!!!!」


先程言われるであろうと思っていた言葉がリヴァイさんの口から出てきて、咄嗟に声を荒げた

リヴァイさんは目を見開き、驚いた表情でこちらを見つめてくる


「お、俺は!リヴァイさんを好きになったんです!!
女子とか、歳とか、もうそんなのどうでもよくて、リヴァイさんがよくて、だから、あの、その、だから…」


威勢良く言ったのはいいものの、肝心な言葉が出てこない

尻すぼみに声が小さくなって、しまいには口を閉ざしてしまった


…付き合ってって言葉、今まで言った事ないから、中々言いにくい


伝わったのかな、俺の気持ち…更に気持ち悪がられたらどうしよう



「…悪くない」

「へ、」

「さっきの威勢、中々だ。悪くない。」


…これは、リヴァイさんなりの、褒め言葉、なんだろうか


「あの、リヴァイさん」

「何だ」

「えっと、告白の返事は…」

「…今までの会話で察しろよ」

「……え、と…」

「…これから宜しくな、エレン」



もう一回頭を撫でてくれた
男っぽいゴツゴツとした手なのに、撫でる心地はとても良い

人間性の表れなんじゃないかなぁ、優しくて強くて、カッコいいなぁ、リヴァイさん



…俺、そんなリヴァイさんと付き合えるのか…

嬉しいような、こそばゆいような、

だけど、とにかく凄い幸せだ






ピロリン


「は、」

「わり、撮った」

「っえぇぇ!!?ちょ、消して下さいよ!!」

「誰が消すか。これは俺の数少ないデータフォルダの貴重な一枚として未来永劫残るんだ」

「だって今絶対俺変な顔してました!!止めて下さい消しましょう!!」

「いやむしろ……、っとにかく消さねぇ」












お互いのデータフォルダの写真を保護し、プラス一緒に写真を撮る事で全ては解決した

後者はリヴァイさんが凄い嫌がっていたが、お願いしたら渋々撮ってくれた。幸せだ


「おい、そろそろ行くぞ」

「あ、はい!リヴァイさん、また明日!」

「あぁ…」







リヴァイさんと離れてから、俺は即座に一緒に撮った写真をスマホの待ち受けにした






――――――――――

信じられるか、付き合って30分でこれだぜ…

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