進撃ss

□痴漢から守るよ!
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「っ、りば、さっ…!」

「あ?」

「うし、うしろっ…や、ひっ、」


まさか、と思ってエレンの後ろを見てみると

中年太りしたおっさんが、エレンの尻を厭らしく触っていた


ミゾ打ち一発、素早く変態野郎に喰らわせた












あれ以来、エレンは約束通りの車両に乗っている

本来一本後の電車との事で、人数が少ないならそちらに乗ればいいのでは?と言ったのだが
どうやら生徒会やら何やらで、これからも一本早めのこの電車に乗らなければいけないらしい

それなら仕方がない、という事で、毎日通勤(エレンの場合は通学だが)を共にしている



…が、エレンを狙う痴漢が一向に後を絶つ気配がない

俺も目を光らせて周りを見てはいるが、何と言ってもそこは人が込み合う電車の中

俺の視界にも限界があり、痴漢野郎というのは巧妙にも周りの視線を避けしでかしてくる


これで被害届を出し痴漢野郎を駅に出て早々パトカーに突っ込むのは何度目になるのか…

そんなに世間は欲求不満か、いくら何でもエレンが可哀想になってくる


確かにあいつは女っぽい顔立ち…目もデカいし肌は綺麗で身体の線は細い

初めてあいつの顔を見た時、「あぁ豚共の好きそうな顔だな」とは思った
しかしまぁ、こんなにも豚共の趣味に当てはまってしまうものなのか


男子に男性が手を上げるなんざ、世も末だな




「やぁリヴァイ」

「おぅ」

「また例の子の加害者?」

「まぁな」

「あーあその子も可哀想だねぇ、何度も何度も餌にされそうになっちゃって」


警察署から、同期のハンジが出てきた
想定してたかのように痴漢類の管轄下の警察を数名連れてきていたので、そいつらに痴漢男を投げつけた


「そんなに可愛いの?そのエレンって子」

「だからこんなに豚共から狙われるんだろ」

「私も見てみたいなぁー!ねぇねぇ今度連れてきてよ!!」

「断る。」


興奮して話すクソメガネを無視して、リヴァイは本部に入る


「でも、君もその子に興味あるんでしょ?」

「あぁ?」

「だって、そんなに酷いなら担当部署の警察に任せればいいじゃないか!それなのにそんなに執着するのは…ねぇ?」

ニヤニヤして話しかけてくる顔面に容赦なく蹴りをカまそうとした

しかしまぁ、さすがは奴も警察の1人
ギリギリで避けられた、うぜぇ

チッ、と舌打ちをして、歩くスピードを速くする


俺は捜査一課の警部、つまりは殺人などそういった重度の犯罪を担当する

ちなみにハンジは科捜研兼捜査一課という、極めて異例な所属の仕方だ



つまりは、俺は痴漢だのそういった犯罪は管轄外

クソメガネの言うとおり、下の部署に回せばいいだけの話


だが…何となく、エレンの案件は回したくなかった。
自分で何とか出来る、という事実があると言われればあるが
そういう理由でじゃなく、もっとこう、モヤモヤとした何かがつっかえていたからだ


何なのだろうか、この感覚は


このモヤモヤの正体が分からず、眉間に皺を寄せる俺を隣でゲラゲラ笑いながら見ていたクソメガネを駆除してから、本部の自席へついた




******


「おいエレン」

「はいっ?」

「お前、今日は俺の前に立て」

「は?あ、はい」



昨日1日考えて出した解決策
どうして直ぐに思いつかなかったのか、甚だ馬鹿らしく感じた


要は、エレンの背後が正面に俺がいればいいのだ

そうすれば周りの豚共を威嚇で払いのけられるし、触ろうとすれば即座に反応出来る


浮かんでしまえば簡単なもので、今まで考えていた自分に腹を立てた
機転がきかなさすぎた



「…やっぱ来ねぇな」

「そ、そ、です、ね」


数十分しても、エレンを触る者はいなかった

ひとまずは解決か、と思いエレンを見てみると、どうも様子がおかしい


顔が赤いし、キョドっているし、若干涙目でもある


「どうした?エレン」

「あ、いや…!」

「触られてんのか?」

「違います違います!!」


だったら何だと言うのだ

いつもと様子が違うエレンを伺うようにして見ていると、どうも視線を逸らされる


…まさか、近い距離に動揺しているのか
三十路な俺がこんな近くにいるのが、気に食わないのだろうか

さすがの俺もダメージくらうぞ


冗談感覚でそんな事を思っていたが、何故かその考えが俺の思考を蝕んでいった


何だというのだ、昨日のモヤモヤといい今の落ち込みといい


経験の無い感覚に、無性に気持ち悪くなる


エレンを見上げると、偶々エレンと目が合ってしまい、その瞬間エレンの顔が一層赤くなった


キュン

…きゅん?

あぁぁだから何なんだこの変な感覚は!!!


多感な時期など当に過ぎた自身が、これほどまで感情に悩まされるとは思ってもみなかった


むさ苦しい電車内が、更に俺を不愉快にさせる




…と、思っていると
もうまもなく俺とエレンが降りる駅につく頃だった

とにかくこの解決方法は良かったようだ

直ぐに駅につき、2人して降りると吸う空気が篭もった空気から一気に爽やかな空気に変わる



「とにかくは、これで大丈夫なようだな」

「…はい」


改めて見てみても、やはりエレンの顔は赤い

理由が気になるが、お互いに時間がある
気になる気持ちを隠し、踵を返し改札口に向かう


エレンと俺は出口が1つ隣で異なるので、改札口前でお別れだ


「じゃあな」

「あっあの!!」


改札口に向かおうとすると突然背後から聞こえてきた声に、振り返る

やはり顔は相変わらず真っ赤だった


「その、えっと…」

「…何だ」

「っ…、お、俺…!」


改札口前で人通りが激しいので、ひとまず改札横の人が少ない場所へ移動する

エレンはまだ口を開けては閉じ、開けては閉じん繰り返していた


「…リヴァイ、さん」


意を決したように見つめるエレンの目は、中々悪くない目をしている


「どうした?」

なるべくキツくない声色でそう言ってやると、
エレンは眉をへにゃんとハの字に垂れ下げ、涙目になりながら話してきた



「ど、しよ…俺、リヴァイさんの事…す、好きに、なっちゃいました…」



さっきまでのモヤモヤの正体が、ストンと胸の中に収まった気がした






――――――――――

ただリヴァイとエレンが甘いだけだったとです

これ続くんですかね、私にも理解不能です

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