進撃ss

□えいぷりるふーる!
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「兵長なんて大嫌い!」

「………ほう、」


突然言い出した恋人の大嫌い宣言

本来なら動揺して、理由を聞き出したり何なりするところだ
…が、特に何を言うでもなく、俺はエレンの話に耳を傾けた


「口悪いし悪人面だし暴力ふるうし理不尽だし、おまけに短気で潔癖症で、身長も小さいし!」


「……」


「大っっ嫌いです!!」

こちらとしても驚きの貶されようだ
蹴りの1つでもいれてやろうか
…が、やはり今日俺は特に何も動かない







「それで?」

「え?」


ポカンと口を開けて、クエスチョンマークを頭に浮かべているのが見て取れる


「そんなに俺の事が嫌いなんだ。別れての一言も言えねぇのか?」

「ー…っ、ぁ」

「どうなんだ?」



ジッとエレンを見つめる

言葉に詰まったような歪んだ表情に、少し笑いが込み上げてくる


大きな金色の目は、視線が定まらないようで縦横無尽に揺らいでいた



「…まぁ、自分からは言いにくいだろうな」

「、へ?」

「お前の気持ちは良く分かった。…エレン、俺達もう別れ、」

「ああぁぁぁ違うんです違うんです違うんです兵長おぉぉぉぉ!!!!!」


ガバァッ!といきなり飛びついてきたエレンの身体を、俺は難なく受け止めた


「じっ実は!今日はエイプリルフールという日でしてっ!!う、嘘をついて相手を騙す日なんです!だからっだから違うんです!!」

「……」

「嘘ついてごめんなさい!!大好きです兵長ぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!」



俺の胸元に顔を埋めグリグリ押しつけてくる

俺に抱きつくその腕は些かフルフルと震えていて

どうやら俺が真剣にこいつの話を受け入れ、本気で別れようと思っていると思ったらしい







バカが


「エレン」

「っはい…!!」

「それくらい知ってる」

「……は?」



またも口を開けてアホ面してくるそいつの額をベシッと叩いてやった


「いたいっ!!え、なん、え、兵長エイプリルフールしってるんですか!?」

「てめぇ、お前の倍生きてる俺がお前の知ってる事知らない訳がないだろ」


そう言うと、あぁなるほど!とこいつは言った

納得したようだ


だから、バカかお前は



「えっでも兵長別れようって…」

「茶番に付き合って何が悪い」

「分かってて言ってたんですか!酷い俺凄い恥ずかしいじゃないですかっ!!」


顔はまるでトマトのように真っ赤

それにハッ、と笑えば、自分が真っ赤になっていると察したのか、エレンは俺の肩口にバフッと顔をうずめた


こういう事を無意識でやってくるんだから、いやはや質が悪い



「第一、お前が俺を嫌いなわけねぇだろうが」

「…?」

「俺の事大好きなクセに」

「〜〜!?なっ、なっ、なに、をっ!」

「違うのか?」

「ッッ〜〜〜!!!」



答えなんか分かりきっているが、それでも言葉を言わせようとする俺も大概だ


「…大好きすぎて、死んじゃうくらい愛してます」

「はっ、そりゃ大変だな」



こっちも負けず劣らず大好きだ


言ってやらねぇが





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何がしたかったかって、次はイチャイチャな2人が書きたかっただけです

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