進撃short

□幸せだよ、今この時が
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今日は晴れた秋日和だった

少し冷えた、しかし暖かな空気には丁度良い秋風が吹き、草木がそよそよ揺らめいている

雲もあまりない青い空、太陽の光が心地いい


こんな日は訓練もやりやすく、兵士達はどこか涼しげに特訓に勤しんでいる

勿論リヴァイ班もそうであり、皆他の兵士に混じり訓練をしていた



…が、1人例外な人もいる

「…くっそ、終わらねぇ…」

こんな晴天の日に、1人執務室に籠もりペンを走らせている人が

「エルヴィンの奴…嫌がらせかよ…」


調査兵団兵士長、リヴァイである

兵士長ともなると、書類という敵は必ずつきまとう

兵士管理、城内整備、運営費用、会議決算…

しかも今は、1人の特殊な子供の管理書も書かなくてはいけない

計画を立て書類を駆逐する派の几帳面なリヴァイであっても、たまに一気に書類が送られてくる事があるため、今日のように執務室に籠もりきりになる日が出てくるのは必然である


「くっそ、身体動かしてぇ…」


元々リヴァイは、デスクワーク自体得意ではない
根っからのアウトドア派で、しかもストイックすぎる部類に入る

そんなリヴァイに、こんな拷問のような書類の山は苦痛でしかなく

「(…死ぬ…。)」

ストレスは溜まっていく一方であった






※※※※※※※※※※※※


全て片付いたのは午後5時頃であった

「…エルヴィンに渡しに行くか…」

それまで食事は一切とらず、手を休める事なく動かしていたので、さすがのリヴァイも疲労が隠しきれない

心なしか、眉間の皺が普段より倍濃く感じる


「あっ兵長!!お疲れ様です!!」

「ペトラか…今日の訓練は終わったのか?」

「はい!!滞りなく!!
エレンの格闘技もより威力が増してきたようで」
「ほぅ、そうか…」


ペトラは口を開けばエレンを誉めまくる癖がある

年下の部下を持つのが初めてなのか、はたまたエレンの弟気質からなのか
他のリヴァイ班も、エレンにはとことん甘く接している



「兵長、大丈夫ですか?酷くお疲れな表情ですが…」

「…否定はしねぇ」

周りから気づかれる程の顔なのか、
と、リヴァイはため息をつきたくなった


「それ、団長に持って行く書類ですか?」

「あぁ」

「じゃあ私が代わりに持って行きますよ!!私も丁度団長に用がありますので」


本来は、不備のある場合もある為、自分で提出しに行くべきなのだが


「……頼む」

「はい!!」

リヴァイには、団長室に行く気力、体力、それらがすでになかった
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